著者: Koki Riho(PortfolioWise 開発者・運営者)
S&P500が1%以上下げた49営業日、金が上がったのは約半分。日次の実測【2025年1月〜2026年10月16日】
投資初心者向け。2025年1月3日〜2026年10月16日の448営業日(米国東部時間の終値)のうち、S&P500が前日比1.0%以上下げた日は49日。同じ日に金が上がったのは約半分で、日次の相関は弱い正でした。10月14日と16日の金の動きを100万円に置き換え、オルカンとS&P500ファンドの資産構成に金がないことも月次レポートで確かめました。
「株が下がると金が上がる」は、日次で数えると本当だったのか
水曜10月14日と金曜10月16日、S&P500は終値の前日比で約1.1%ずつ下げました。同じ日の金(現物)の日足終値は、前日比で14日が-1.35%、16日が-0.14%でした。
「株が下がると、金が上がる(逆相関)」という言い方があります。NISAでオルカンやS&P500を積み立てているあなたも、この通説を前提に、金を持つかどうかを考えたことがあるかもしれません。実際の日々の値動きでは、どうだったのでしょうか。
先に答えを書きます。2025年1月以降、S&P500が前日比1.0%以上下げた49営業日のうち、金が上がった日は約半分でした。
投資初心者の方にも分かるように、S&P500が前日比1.0%以上下げた49日を、金の現物と先物で1日ずつ数えました。
あらかじめ書いておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で、自分のサービスにも少しだけ触れます。数字は、2026年10月18日(日)朝(日本時間)に確認した、10月16日(金)までの米国東部時間の日次終値です。10月19日(月)以降の動きは反映していません。
数え方と、データの出所
再現できるように、数え方を先に書きます。
- 期間: 2025年1月3日〜2026年10月16日の448営業日(S&P500の取引があった日)。前日比を出すため、起点は2025年1月2日の終値です。
- 条件: S&P500の終値の前日比が-1.0%以下の日。前日比は丸めずに判定しました。
- S&P500: CNBCとYahoo Financeの日足終値です。起点の1月2日を含む449営業日分の終値が、2つの出所で指数の値の差0.02以内で一致しました。
- 金(先物): COMEXの連続足(先物は受け渡しの月=限月ごとに値段が分かれるため、それを1本につないだ日足)の終値です。CNBCとYahoo Finance(GC=F)の日足は、49日すべてで上がったか下がったかの向きが一致しました。連続足は、つなぐ限月を切り替える日に、1つの限月だけを見た前日比とずれることがあります。出所によって前日比の大きさが違う日もありました(例: 2025年3月28日はCNBCが+1.74%、Yahoo Financeが+0.83%)。
- 金(現物): CNBCの現物(Gold / US Dollar Spot)の日足終値です。この系列は、CNBC以外の出所と突き合わせられていません。
- 上がった日と下がった日: 前日比がプラスなら上がった日、マイナスなら下がった日です。S&P500が1.0%以上下げた49日のうち、現物には、プラス幅が0.01%未満の日が2日(2025年4月8日と11月20日)あり、上がった日に含めています。
- 日付: 金(現物)の日足には土日の値も入っていますが、現物も先物も、S&P500の取引日に合わせて、前の取引日の終値と比べました。取引時間のずれは考慮せず、日足の終値を同じ日付で突き合わせています。
- 線引き: この記事は、同じ日に何が起きたかを数えたものです。金が動いた理由や、株安が金に与えた影響は扱いません。
S&P500と金の終値を同じ日付で並べて前日比を出し、S&P500が-1.0%以下の日だけを抜き出せば、この記事の表を再現できます。出所のURLは、記事末の参考資料に載せました。
結果: S&P500が1.0%以上下げた49日、金が上がったのは約半分
| S&P500の条件(終値の前日比) | 該当日数 | 金(現物)が上がった日 | 金(先物)が上がった日 |
|---|---|---|---|
| -1.0%以下(2025年1月3日〜2026年10月16日) | 49日 | 24日(49%) | 25日(51%) |
| うち2025年 | 29日 | 18日(62%) | 18日(62%) |
| うち2026年(10月16日まで) | 20日 | 6日(30%) | 7日(35%) |
| うち2026年6月1日以降 | 9日 | 2日(22%) | 3日(33%) |
| -2.0%以下(全期間) | 9日 | 5日(56%) | 5日(56%) |
| 参考: +1.0%以上(全期間) | 49日 | 32日(65%) | 30日(61%) |
| 参考: 条件なし(全448営業日) | 448日 | 約55% | 約55% |
全期間の49日のうち、金(現物)が上がった日は24日でした。金(先物)では25日です。現物と先物で向きが割れた日が5日あり(2025年3月6日、11月20日、2026年6月17日、7月29日、10月16日)、件数が1日ずれます。どちらで数えても、49日のうち約半分です。
2025年は、29日のうち18日で金が上がりました(現物も先物も同じ日数です)。2026年は上がった日が減り、20日のうち金(現物)が上がったのは6日でした。先物では7日です。
比べるために、S&P500が1.0%以上上がった日も数えました。こちらも49日で、金(現物)が上がったのは32日、先物では30日です。S&P500の動きによらない448営業日全体では、金が上がった日の割合は、現物も先物も約55%でした。
S&P500が1.0%以上下げた日に金が上がった割合は、全日の約55%を上回っていません。「株が下がる日は、金が上がりやすい」という差は、この数え方では見えませんでした。
今週の2日(10月14日と16日)を並べる
| 日付(米国東部時間) | S&P500(終値) | 金(現物)の日足終値 | 金(先物)の日足終値 |
|---|---|---|---|
| 10月14日(水) | 7,805.45 → 7,718.94(-1.11%) | 4,160.95 → 4,104.60(-1.35%) | 4,177.30 → 4,107.90(-1.66%) |
| 10月16日(金) | 7,744.06 → 7,659.44(-1.09%) | 4,170.20 → 4,164.52(-0.14%) | 4,170.10 → 4,181.10(+0.26%) |
矢印の左が前の取引日の終値、右がその日の終値です。S&P500は指数の値、金は1トロイオンスあたりの米ドルです。
10月14日は、株も金も下がりました。10月16日は、金の下げが小さく、先物では小幅に上がっています。この日は、現物と先物で上がったか下がったかが割れた日の1つです。
100万円に置き換えると(式つき)
為替・信託報酬・配当・手数料は考えない単純計算です。S&P500は、指数が同じ割合で動いたと見ました。金は、ドル建ての価格の変化率を、為替を考えずにそのまま当てはめた計算で、ファンドとは別物です。
| 対象 | 10月14日 | 10月16日 |
|---|---|---|
| S&P500の変化率を当てはめた100万円 | 100万円 × (7,718.94 ÷ 7,805.45 - 1) = -11,083円 | 100万円 × (7,659.44 ÷ 7,744.06 - 1) = -10,927円 |
| 金(現物)の変化率を当てはめた100万円 | 100万円 × (4,104.60 ÷ 4,160.95 - 1) = -13,543円 | 100万円 × (4,164.52 ÷ 4,170.20 - 1) = -1,362円 |
| 金(先物)の変化率を当てはめた100万円 | 100万円 × (4,107.90 ÷ 4,177.30 - 1) = -16,614円 | 100万円 × (4,181.10 ÷ 4,170.10 - 1) = +2,638円 |
10月14日は、100万円あたりの下げ額が、S&P500より金のほうが大きくなりました。10月16日は、金の下げが小さく、先物では上げでした。S&P500が約1.1%下がった同じような日でも、金(現物)の下げ幅は2日で大きく違い、先物では上がったか下がったかの向きも割れています。
月3万円の積立の例です。S&P500ファンドに月3万円ずつ24か月積み立て、評価額が72万円の人を考えます(運用益と為替は考えません)。10月14日と同じ割合で動くと、72万円 × 1.1083% = 約7,980円の減少です。
金は、オルカンとS&P500ファンドの基準価額に入るのか
三菱UFJアセットマネジメントの月次レポート(2026年9月30日現在)で、「資産構成」の欄は、コールローン他(株以外の現金などの残り。2本とも0.0%前後)の行を除くと次のとおりです。
- S&P500ファンド: 実質外国株式(マザーファンドという親ファンドを通じて持つ株に、先物で持つ分も合わせた比率)100.0%
- オルカン: 国内株式5.2%、先進国株式(除く日本)82.7%、新興国株式12.0%
どちらの欄にも、金の行はありません。金そのものが資産構成にないので、金の値動きは、この2本の基準価額に直接は出ません。
金曜10月16日のS&P500の下げが、どの日の基準価額に出るのかは、 金曜の米国株安が基準価額に出る時期を調べた記事 で、6営業日の公表値から確かめました。この記事では繰り返しません。
株が下がる日に、金も一緒に下がるとどうなる?
数えた結果を、株と金を同じ金額ずつ持つ人の立場で読むと、次のようになります。
- 金が上がった約半分の日は、株の下げ額の一部を、金の上げ額が埋める形になりました。金の上げ額のほうが大きかった日もあります。
- 金が下がった約半分の日は、株と金の下げ額が重なりました。10月14日がその例です。100万円ずつ持っていた単純計算では、S&P500の分が-11,083円、金(現物)の分が-13,543円でした。
どちらの日になるかを前もって見分ける材料は、この集計にはありません。金が株の下げを和らげた日もあれば、下げ額を重ねた日もある、というのが数えた結果です。
分散投資は、値動きの違う資産に分けて持つ考え方です。この記事が数えたのは、2025年1月以降の日次の動きだけで、それより前の期間や、週・月単位の動きは数えていません。
株と金の毎日の動きは、逆向きではなく、やや同じ向きでした
448営業日の日々の前日比(騰落率)で、S&P500と金の相関係数を出すと、現物は+0.165、先物は+0.14でした。マイナスの逆相関ではなく、同じ向きに動く日がやや多い、弱い正の相関です。
自分でできる3つの確認
まとめ
- 2025年1月3日から2026年10月16日までの448営業日で、S&P500が前日比1.0%以上下げた49日に、金が上がったのは約半分でした。全日で金が上がる割合(約55%)を上回っていません
- 今週のS&P500が約1.1%ずつ下げた2日は、下げ幅がほぼ同じでも、金の動きは大きく違いました(先物では向きも割れました)
- オルカンとS&P500ファンドの資産構成(2026年9月30日現在)に金はなく、金の値動きは基準価額に直接は出ません
私は、株が下がった日の金の動きだけを根拠に、積立の設定や資産配分を変える理由は、この数字からは見つからないと考えます。S&P500が1.0%以上下げた49日で、金が上がった日と下がった日はほぼ同数でした。日次の相関も、逆相関ではなく弱い正の値でした。これは一般論で、収入・投資期間・生活費の余裕など個々の状況で変わります。
関連書籍(もっと学びたい方へ)
ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第13版)
バートン・マルキール
なぜインデックス投資が合理的かを、歴史と統計で検証した古典です。この記事のように、値動きを数えて確かめる姿勢が好きな人に向いています。
JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則
ニック・マジューリ
つみたて投資を続ける根拠を、データで示した本です。相場の上下があっても買い続ける意味を、数字で確かめたい人に向いています。
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参考資料
-
CNBC「S&P 500 Index (.SPX)」日足データ(JSON。2025年1月2日〜2026年10月16日分を、2026年10月18日朝に取得)
https://ts-api.cnbc.com/harmony/app/bars/.SPX/1D/20250102000000/20261018000000/adjusted/EST5EDT.json -
CNBC「Gold / US Dollar Spot (XAU=)」日足データ(JSON。同じ期間・同じ日に取得)
https://ts-api.cnbc.com/harmony/app/bars/XAU%3D/1D/20250102000000/20261018000000/adjusted/EST5EDT.json -
CNBC「Gold COMEX (@GC.1)」日足データ(JSON。同じ期間・同じ日に取得)
https://ts-api.cnbc.com/harmony/app/bars/%40GC.1/1D/20250102000000/20261018000000/adjusted/EST5EDT.json -
Yahoo Finance「S&P 500 (^GSPC)」日足データ(chart API。2026年10月18日朝に取得)
https://query1.finance.yahoo.com/v8/finance/chart/%5EGSPC?period1=1735689600&period2=1792300000&interval=1d -
Yahoo Finance「Gold (GC=F)」日足データ(chart API。2026年10月18日朝に取得)
https://query1.finance.yahoo.com/v8/finance/chart/GC%3DF?period1=1735689600&period2=1792300000&interval=1d -
FRED(セントルイス連邦準備銀行)「S&P 500 (SP500)」(日次の終値。読者が照合に使える出所です)
https://fred.stlouisfed.org/series/SP500 -
三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 月次レポート」(2026年9月30日現在)
https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/253266/253266_202609.pdf -
三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 月次レポート」(2026年9月30日現在)
https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/253425/253425_202609.pdf
免責事項
※記事の数字は2026年10月18日(日)朝(日本時間)に確認したもので、10月19日(月)以降の動きは反映していません。
※S&P500と金の値は、米国東部時間の日次終値です。S&P500はCNBCとYahoo Financeの日足で確認しました。前日比・件数・相関係数は、運営者がその日足から計算しました。
※金(先物)は、CNBCとYahoo Financeの日足で、S&P500が1.0%以上下げた49日の向きが一致することを確認しました。金(現物)はCNBCの日足のみで、ほかの出所とは突き合わせていません。
※件数は、前日比がプラスの日を「上がった日」、マイナスの日を「下がった日」として数えました。現物の2025年4月8日(+0.006%)と11月20日(+0.003%)は、上がった日に含めています。
※オルカンとS&P500ファンドの資産構成は、三菱UFJアセットマネジメントの月次レポート(2026年9月30日現在)の値で、毎月変わります。
※100万円と72万円の金額は、為替・信託報酬・配当・手数料を考えない単純計算で、予想ではありません。金の計算は、ドル建ての価格の変化率をそのまま当てはめたもので、円建ての金の商品の損益とは一致しません。
※過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。金を持つ・持たないの判断も含め、投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。Audibleの案内も、同じくAmazonアソシエイトのリンクです。