金が8月半ばまでに+10%、1月以来最大の月間上昇——財務省の国債買い戻し拡大が引き金に。あなたのオルカン・S&P500への影響は?【2026年8月23日時点】
投資初心者向け。金は2026年8月23日時点で1オンス4,602.40ドル。8月半ばまでに約10%上昇し1月以来最大の月間上昇に。財務省の国債買い戻し拡大が引き金。史上最高値からは約17.8%安。オルカン・S&P500への影響を解説。
金が8月半ばまでに+10%、1月以来最大の月間上昇——あなたのオルカン・S&P500への影響は?
投資初心者でも分かるように解説します。
(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)
オルカンやS&P500を積み立てているあなたも、金(ゴールド)は持っていない、という人が多いかもしれません。「金が8月だけで10%も上がった」と聞いて、自分の資産にも何か関係あるのだろうかと気になった方もいるのではないでしょうか。
金価格は、2026年8月23日8時39分(ニューヨーク時間)時点でkitco.com調べの1トロイオンス4,602.40ドル。前日比では+84.20ドル(+1.86%)の上昇です。
8月半ばまでに約10%、1月以来最大の月間上昇
8月に入った時点で、金は1トロイオンス4,000ドル近辺で推移していました。そこから月央にかけて値を上げ、資産運用メディアGoldSilver.comは8月半ば時点で「月初来およそ10%の上昇、2026年1月の史上最高値更新以来もっとも大きな月間上昇」と報じていました。私自身のブログでも8月17日時点の価格を4,377.89ドルとお伝えしていましたが(詳細は8月17日の記事)、そこからさらに6日で4,602.40ドルまで値を上げたことになります。
ここまで急ピッチで戻すと「もう史上最高値を超えたのでは」と思うかもしれません。実際には、そうではありません。
史上最高値からはまだ約17.8%低い水準
金の史上最高値は、2026年1月29日につけた5,597.23ドルです(価格フィードによっては5,589〜5,608ドル程度という報道もあり、算出元によって数値に幅があります)。現在の4,602.40ドルは、この史上最高値からまだ約17.8%低い水準にとどまっています。8月の上昇スピードだけを見ると強い動きに見えますが、1月の高値から振り返ると、まだ2割弱の距離が残っている計算です。
引き金は財務省の国債買い戻し拡大——金利低下とドル安が金を押し上げた
今回の上昇の直接的なきっかけは、2026年8月19日に米財務省が発表した、長期国債の買い戻し(バイバック)オペレーションの拡大です。対象は残存期間10〜20年・20〜30年の国債で、1回あたりの買い戻し上限を20億ドルから少なくとも40億ドルへ引き上げると発表しました。この発表を受けて、米30年国債利回りは9bp低下し5.196%に、10年国債利回りも5.7bp低下し4.647%になっています。財務省の発表の経緯や、この日の株式市場への影響そのものは既報の記事で詳しく解説しているので、本記事では金価格への波及に絞って整理します。
長期金利の低下に加えて、この間ドルもやや弱含んで推移したと報じられています。金利低下とドル安がほぼ同時に進んだことが、8月後半の金価格をさらに押し上げた材料になったとみられます。
金価格が上がるとどうなる? あなたのオルカン・S&P500への影響は
直接の影響はゼロ——オルカン・S&P500は金を組み入れていない
オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))もS&P500も、金(ゴールド)を一切組み入れていません。どちらも株式だけで構成される指数で、GICS(世界産業分類基準)にもとづく業種に分類された「株式会社の株」のみが対象です。金という実物資産は、指数の外側にあります。金価格が8月にどれだけ動いても、オルカン・S&P500だけに投資している人の評価額には、直接の影響は一切ありません。
間接的には、同じ材料がまったく違う動きを生んだ1週間
直接の影響はなくても、今回は同じ材料がいろいろな資産に別々の形で波及した点が興味深いところです。財務省の買い戻し拡大を受けて長期金利が下がったこの週、S&P500は8月21日終値7,674.37(前日比+0.43%)と1日単位ではプラスで終えたものの、週間ベースでは主要な株価指数がそろって下落しました。国債利回りの変動が相場の重しになったと報じられています。一方でビットコインは同じ週に+22%という大きな上昇を記録しています。金利やドルに敏感な資産である金・ビットコイン・株式が、同じニュースを受けてここまで違う反応を示す。値動きの方向が異なる資産を組み合わせる分散投資の効果が、1週間という短いスパンの中にそのまま表れた形です。
金を持っていたら: 100万円のうち5%を配分していた場合の試算
仮にポートフォリオ全体が100万円で、そのうち5%(5万円)を金に配分していたとします。8月の月初来上昇率(報道ベースで約+10%)をそのまま当てはめると、この5万円分は約5,000円の含み益です。配分を10%(10万円)にしていた場合は、約1万円になります。金額としては大きくありませんが、オルカン・S&P500だけに集中投資している場合は、この上昇の恩恵を一切受けていないことになります。
逆のケースにも触れておきます。2026年1月の史上最高値付近で金をまとめて(一括で)購入し、そのまま保有し続けている人がいた場合、ドル建て換算でいまも含み損が約17.8%残っている計算です(為替変動は含まない概算で、実際の円建て評価額は購入時と現在の為替水準によっても変わります)。純金積立のように時期を分けて買っている場合は、平均購入単価が史上最高値そのものより低くなるため、含み損の程度はこれより小さくなります。金は「下がらない資産」ではなく、株式と同じかそれ以上に大きく動く資産だという点は、繰り返し伝えておきたいところです。
金を検討するなら: PF全体の5〜10%、純金ファンド/SPDR Goldという選択肢
NISA成長投資枠やつみたて投資枠でオルカン・S&P500を積み立てている人が金を検討する場合、一般的にはポートフォリオ全体の5〜10%程度を目安にする考え方が紹介されています。方法は主に2つです。1つは、証券会社や地金商を通じて毎月定額で金地金を買い増していく純金積立。
もう1つは、国内の純金上場信託(1540)や、SPDR Gold Shares(GLD、米国上場の金ETF)のような金ファンドです。1540はNISA成長投資枠の対象商品に含まれており(つみたて投資枠は対象外)、株式と同じ申告分離課税(他の株式・投資信託との損益通算が可能)です。
純金積立と金ETFでは、非課税枠が使えるかどうかがまったく異なります。税制の違いは8月17日の記事でも整理しているので、購入前に必ず証券会社の商品説明で対象区分を確認してください。
株式市場は堅調とは言えない一週間でしたが、崩れているわけでもありません。金だけが金利とドルを材料に大きく動き、株式とビットコインはまた別の反応を見せる。オルカン・S&P500に投資している人にとって、「金のニュースが話題になっているから自分の資産も危ない」と短絡的に結びつける必要はありません。両者は別の資産クラスとして、別々の理由で動いています。
今すぐできる4つのアクション
まとめ: 金は8月半ばまでに+10%も、史上最高値からはまだ2割弱の距離が残る
- 金は2026年8月23日8時39分(ニューヨーク時間)時点で1トロイオンス4,602.40ドル(kitco.com調べ)。8月半ば時点で月初来およそ10%上昇し、2026年1月の史上最高値更新以来もっとも大きな月間上昇と報じられている
- 2026年1月29日の史上最高値5,597.23ドルからは、現在値でまだ約17.8%低い水準。急ピッチな上昇に見えても、1月の高値からは2割弱の距離が残っている
- 直接のきっかけは財務省が8月19日に発表した長期国債買い戻しの拡大。米30年国債利回りが9bp、10年国債利回りが5.7bp低下し、金利低下とドル安が金を押し上げた
- オルカン・S&P500は金を一切含まないため評価額への直接影響はない。ただし同じ週にS&P500は週間ベースで下落、ビットコインは週間+22%と、同じ材料が資産ごとに異なる反応を見せた
- 金を検討する場合はPF全体の5〜10%が一般的な目安。純金積立(NISA対象外)と金ETF(1540等・NISA成長投資枠対象)は税制上の扱いが異なるため、購入前に対象区分を確認する
「金がまた上がっている」というニュースだけを見ると、次はどこまで上がるのかが気になるかもしれません。ただ、今回のように背景を追っていくと、財務省の買い戻し、長期金利、ドルという具体的な材料が見えてきます。オルカン・S&P500だけに投資している人にとっては直接の影響がなくても、金利やドルという同じ材料が、いずれ株式市場にも波及してくることがあります。
PFWiseのポートフォリオ診断では、株式・金・現金といった資産クラスごとの構成比を確認できます。金を保有している人もしていない人も、自分の資産全体が金利やドルのニュースに対してどう配分されているかを、この機会に一度確認してみることをおすすめします。
関連書籍(もっと学びたい方へ)
サイコロジー・オブ・マネー
モーガン・ハウセル
金が1か月で10%動く一方、株式は週間で下落するという場面を見ると、値動きそのものより自分の心理との付き合い方が問われます。資産クラスをまたいだ値動きに振り回されないための思考の土台になる1冊です。
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ニック・マジューリ
株式と値動きが異なる資産をどれだけ、どうやって組み込むか。データにもとづいて資産配分の考え方を整理した現代の鉄板書で、金を検討する際の「PF全体の何%か」という問いにも通じる視点が得られます。
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免責事項
※金(ゴールド)価格(2026年8月23日8時39分・ニューヨーク時間・1トロイオンス4,602.40ドル・前日比+84.20ドル/+1.86%)は、Kitco「Live Gold Price」(kitco.com/charts/gold、2026年8月23日時点)にもとづく市場データです。同時期のTrading Economics「Gold - Price」(tradingeconomics.com)では4,607.35ドル(前日比+91.57ドル/+2.03%、直近1か月+11.54%、年初来+36.59%)とわずかに異なる数値を示しており、データ取得元・時点により差が生じます。
※8月の月間上昇率(月初4,000ドル近辺から8月半ば時点でおよそ+10%、2026年1月の史上最高値更新以来もっとも大きな月間上昇)は、GoldSilver.com「Gold Price Outlook August 2026: What Three Data Prints in One Week Mean for Your Metals」(goldsilver.com、8月半ば時点の記事、8月13日に日中高値4,509ドル・8月14日時点で4,380ドル程度と記載)にもとづきます。8月17日時点の価格(4,377.89ドル)は当サイトの過去記事(2026年8月17日付)で報じた数値です。
※史上最高値(2026年1月29日・5,597.23ドル)は、複数の市場報道(StoneX Bullion「What Was the Highest Price for Gold?」、Investing News Network「What Was the Highest Gold Price Ever?」等)にもとづきます。価格フィードによっては同日または1月28日時点で5,589〜5,608ドル程度という表記もあり(当サイトの過去記事ではTrading Economics基準の5,608.35ドルを掲載)、算出元により数値に幅があります。史上最高値からの下落率(現在時点で約17.8%)は、これらの実測値をもとに本記事で計算した概算値です。
※米財務省が2026年8月19日に発表した長期国債買い戻し拡大の詳細(対象年限、1回あたり上限の引き上げ、開始日等)、および米30年国債利回り(9bp低下し5.196%前後)・10年国債利回り(5.7bp低下し4.647%前後)の変化幅は、当サイトの過去記事(2026年8月20日付)で出典とともに解説済みの内容を要約したものです。
※長期金利の低下とドルの弱含みが金価格を押し上げた旨は、Yahoo Finance「Gold prices today, Thursday, August 20, 2026: Gold rallies after Treasury announcement, FOMC meeting minutes」(2026年8月20日付)の報道にもとづきます。
※S&P500(2026年8月21日終値7,674.37・前日比+0.43%)、および週間ベースで主要な株価指数が下落した旨は、Yahoo Finance「Stock market today: Dow, S&P 500, Nasdaq post weekly losses as bond volatility remains in focus, bitcoin soars」(2026年8月21日付)にもとづきます。
※ビットコインが週間で+22%上昇した旨は、CNBC「Bitcoin surges 22% for the week as investor optimism floods back」(2026年8月21日付)の報道にもとづきます。
※オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))・S&P500がGICS(世界産業分類基準)の株式セクターのみで構成され金(ゴールド)等の商品(コモディティ)を含まないこと、純金積立とNISA成長投資枠対象の金ETF(1540)の税制上の違いは、当サイトの過去記事(2026年8月17日付)で出典とともに整理済みの内容と同一です。具体的な対象区分は購入時点の各社商品説明で必ずご確認ください。
※記事内の金額試算(100万円のうち5%・10%を金に配分した場合の増減額、史上最高値付近で購入した場合の現在評価額)は、記載した騰落率・下落率のみを反映した簡易な仮定計算であり、いずれもドル建て価格の変動のみを反映しています。為替変動・売買手数料・税金・信託報酬・スプレッドは考慮していません。実際の円建て損益とは異なります。
※「長期金利の低下が金にとって追い風になりやすい」「ドル安が金の需要を押し上げやすい」といった説明は、一般的に紹介される金融市場の考え方にもとづく概説であり、金融市場の反応を確定的に予測するものではありません。金を保有することで得られる分散効果・インフレヘッジ効果を保証するものでもありません。
※過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。