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地政学リスクで金が反発、8月11日は1オンス4,397ドル台——「有事の金」買いが強まる理由・あなたのオルカン/S&P500への影響は?【2026年8月11日】

投資初心者向け。金(ゴールド)は2026年8月10日午前9時(米東部時間)時点の4,331.90ドルから反発し、11日午後には4,397.59ドルまで上昇(約+1.5%)。中東情勢の緊迫化による「有事の金」買いの仕組みとNISAでの位置づけを整理します。

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地政学リスクで金が反発、8月11日は1オンス4,397ドル台——「有事の金」買いが強まる理由

投資初心者でも分かるように解説します。

(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)

金(ゴールド)のスポット価格は、2026年8月7日午前9時(米東部時間)時点で1オンス4,356.56ドルでしたが、8月10日午前9時時点ではいったん4,331.90ドルまで下げ、そこから反発しています。11日は米東部時間午前9時時点で4,396.53ドル、午後1時2分(米東部夏時間)時点では4,397.59ドルまで値上がりし、8月10日午前9時時点からおよそ1.5%の上昇です。

背景にあるのは中東情勢です。Yahoo Financeは今回の米国とイランの対立を「数ヶ月に及ぶ戦争」と表現していて、ホルムズ海峡(中東の原油輸送における最重要航路)の再開をめぐる交渉が長引いています。株式市場は落ち着いているのに金だけが独自に上昇している、というのが今回のポイントです。この動きを、オルカン・S&P500を積み立てているあなたの資産にどう結びつけて考えればいいか、順番に見ていきます。

なぜ地政学リスクが高まると金が買われるのか——「有事の金」という考え方

「有事の金」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。戦争や紛争、金融危機など先行きが読みにくくなる局面で、投資家が株式や自国通貨から資金を引き上げて金に振り向ける動きを指します。金は特定の国や企業の信用力に依存しない資産だからです。株式は発行体の企業が業績悪化すれば価値が下がりますし、通貨も発行国の信用が揺らげば下落します。金にはそのどちらのリスクもありません。

ただし、これは金が上がり続けるという意味ではありません。地政学リスクが後退すれば買いは一巡し、価格が下がる場面もあります。実際、金は2026年1月に史上最高値をつけた後、いったん大きく値を下げた局面もありました(この経緯は別記事で整理しています)。今回はそこから中東情勢の再緊迫化を受けて、あらためて買いが入っている局面だと捉えると分かりやすいと思います。

何が起きているのか——ホルムズ海峡をめぐる米国とイランのにらみ合い

今回の緊張の中心にあるのがホルムズ海峡です。イラン側は再開の条件として、米国による制裁の解除、海上封鎖の終了に加えて、戦争被害への賠償金の支払いを求めていると報じられています。トランプ大統領は8月10日、この賠償要求を一蹴しました。

私自身、ニュースの見出しだけを追っていると「また中東で何かあったのか」くらいの感覚で読み流してしまいそうになります。ただ、ホルムズ海峡は世界の原油輸送における最重要航路のひとつで、ここが不安定になるというニュースは、原油価格を通じて世界経済全体に波及します。金融市場が敏感に反応するのには理由があるわけです。

原油も同時に急伸——金利観測との綱引き

今回、動いたのは金だけではありません。原油(WTI)は8月10日終値で前日比およそ5%高の1バレル82.13ドル、国際指標のブレント原油も同程度上昇し87.72ドルまで上がりました(CNBC報道)。ホルムズ海峡の供給不安が、そのまま原油価格に反映された形です。

原油高と金の値上がりは、実は同じ地政学リスクという1つの要因から、2つの別々の経路で起きています。原油は供給不安そのものが価格を押し上げ、金は「有事の資産」としての需要が価格を押し上げています。

興味深いのは、原油高がもたらすインフレ懸念の再燃が、本来は金にとって逆風になりやすいという点です。原油高でインフレが再加速すると懸念されれば、FRB(米連邦準備制度)が利上げに動きやすくなるとの見方が強まり、利息を生まない金は利回りのつく資産に比べて相対的な魅力が下がるとされるからです。実際、CME FedWatch(先物市場の価格から金融政策の予想確率を算出するツール)が示す9月の利上げ確率は、8月4日時点ではおよそ67%でしたが、8月7日の雇用統計後にはおよそ40%(据え置き60%の裏返し)まで下がり、原油高を受けて8月11日時点ではおよそ50%まで戻っています。据え置きか利上げか、五分五分の綱引きです。

それでも金が値上がりしているということは、金利面での逆風より、地政学リスクそのものへの警戒による買いのほうが、いまの金相場では優勢だということになります。

金が上がると、あなたのPFはどうなる?——S&P500は最高値圏、金は独自に動いている

ここからが本題です。今回、注目したいのはS&P500の動きです。地政学リスクがこれだけ意識されているにもかかわらず、S&P500は8月11日時点でも直近の史上最高値7,757.64(8月7日)近辺で推移しています。株式は崩れていないのに、金だけが独自の理由で上昇している。これが今回の値動きの特徴です。

オルカンやS&P500だけを保有している場合、この金の値動きが自分の資産に直接反映されることはありません。オルカンもS&P500も株式インデックスファンドで、金は組み入れられていないからです。裏を返せば、株式が最高値圏で落ち着いている今のような局面でも、金だけに効く材料によって評価額が動く資産を別に持っておくと、株式とは違う理由で資産の一部が動く状態をつくれるということでもあります。

金額で考えてみます。金関連商品を50万円分保有していたとして、8月10日朝から11日午後にかけての値上がり分(約+1.5%)がそのまま反映されたと仮定すると、評価額はおよそ+7,500円になる計算です。100万円分なら+1万5,000円ほどです。金額としては大きくありませんが、株式が動いていない日にも、金だけが別の理由で動くことがあるという感覚はつかんでおいて損はないと思います。

あなたのオルカン・S&P500には、金は1グラムも含まれていない

少し立ち止まって考えてみてください。あなたの証券口座を思い浮かべたとき、オルカンやS&P500以外に、金(ゴールド)は何グラム分保有していますか。ゼロという方が大半だと思います。オルカンもS&P500も株式インデックスファンドで、金は1グラムも組み入れられていないからです。

タケシさんのように、オルカン・S&P500を中心に積み立てている読者にとって、この「ゼロ」自体に問題があるわけではありません。ただ、オルカンとS&P500は突き詰めれば「世界中の企業の株式」という同じ種類の資産です。金はそれとは異なる値動きをする、数少ない資産クラスのひとつです。今回のように地政学リスクが高まる局面でも株式が最高値圏を維持しているのは結果的にそうなっただけで、次も同じとは限りません。

私自身は今のところ、積立に金を加える予定はありません。理由は単純で、地政学リスクが高まるたびに保有比率を調整する自信がないからです。それでも、「自分のPFには金が1グラムも含まれていない」という事実は認識したうえで積立を続けるようにしています。知らずに保有していないのと、知ったうえで保有していないのとでは、次に金融市場が荒れたときの心構えが違うと感じています。

NISA成長投資枠で金を検討するなら

NISAの成長投資枠では、金に投資できる商品も存在します。代表的なのが1540(純金上場信託)で、東京証券取引所に上場するETFです。国内で現物の金を保管する形式で、金の国際価格(ドル建て)を円換算した価格に連動します。1326(SPDRゴールド・シェア)のような、ドル建ての金価格に連動するETFもあります。

どちらも為替ヘッジはなく、円換算の評価額はドル建ての金価格だけでなく為替(ドル円)の影響も受けます。商品を検討する際は、信託報酬(保有中にかかるコスト)や保管形態の違いを比較することになります。ここで挙げた銘柄は成長投資枠の対象になりうる商品の一例であり、特定の商品の購入を推奨する趣旨ではありません。

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まとめ:株式が動かない日にも、金は独自の理由で動く

  • 金(ゴールド)は2026年8月10日午前9時(米東部時間)時点のスポット価格1オンス4,331.90ドルから反発。11日は米東部時間午前9時時点で4,396.53ドル、午後1時2分時点で4,397.59ドルまで上昇し、8月10日午前9時時点からおよそ+1.5%の値上がりとなった
  • 背景は中東情勢の緊迫化。ホルムズ海峡の再開交渉が停滞するなか、イラン側は制裁解除・海上封鎖終了に加え戦争賠償金の支払いを要求と報じられ、トランプ大統領は8月10日にこれを一蹴した
  • 同時に原油(WTI)も8月10日終値で前日比およそ5%高の82.13ドルまで急伸(ブレント原油は87.72ドル)。原油高によるインフレ懸念の再燃で、CME FedWatchが示す9月利上げ確率は8月4日時点の約67%→雇用統計直後の約40%→8月11日時点で約50%まで回復した
  • S&P500は8月11日時点でも直近の史上最高値7,757.64(8月7日)近辺で推移しており、株式が崩れていないなかで金だけが地政学リスクを理由に独自に上昇している
  • オルカン・S&P500だけを保有している場合、金の値動きは資産に直接影響しないが、NISA成長投資枠では1540(純金上場信託)等を通じて金を保有する選択肢もある。金関連商品を50万円分保有していれば、8月10日朝から11日午後にかけての値上がり分(約+1.5%)でおよそ+7,500円の計算になる

今回、印象に残ったのは、株式が動じていないのに金だけが動いた、という点です。「有事の金」というと株が暴落する場面を思い浮かべがちですが、実際にはS&P500が最高値圏を維持したまま、金だけが独自の材料で買われるという場面も起こりえます。

PFWiseのポートフォリオ診断では、保有資産の構成比を一枚で確認できます。地政学リスクのニュースが増える時期こそ、自分のPFに何が含まれていて何が含まれていないかを、数字で把握しておく意味があると感じています。

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免責事項

※本記事で触れた金(ゴールド)価格(2026年8月11日午前9時[米東部時間]時点1オンス4,396.53ドル、午後1時2分[米東部夏時間]時点4,397.59ドル、8月10日午前9時[米東部時間]時点4,331.90ドル、8月7日午前9時[米東部時間]時点4,356.56ドル)は、CNBC「The price of gold today, August 10, 2026」(4,331.90ドル・4,356.56ドル)、CNBC「The price of gold today, August 11, 2026」(4,396.53ドル)、JM Bullion(4,397.59ドル)、およびYahoo Finance等の報道にもとづく2026年8月11日時点の情報です。金価格は集計元・計測タイミングによって数値に幅があり、PFWiseが独自に検証・保証するものではありません。過去の値動きは将来の運用成果を保証するものではありません。
※米国とイランの対立の経緯(Yahoo Finance「Gold prices today, Tuesday, August 11, 2026」が「数ヶ月に及ぶ戦争」と表現している点を含む)、ホルムズ海峡再開交渉におけるイラン側の要求内容(制裁解除・海上封鎖終了・戦争賠償金の支払い)、トランプ大統領の8月10日の反応は、2026年8月時点の報道にもとづく概説であり、今後の交渉の展開によって状況が変わる可能性があります。
※原油価格(WTI・ブレント原油の2026年8月10日終値、前日比約5%の上昇)、CME FedWatchが示す9月利上げ確率の推移(8月4日時点約67%→8月7日雇用統計直後約40%→8月11日時点約50%)は、CNBC等の報道にもとづく概説であり、PFWiseが独自に検証・保証するものではありません。将来の金融政策の判断を予測するものではなく、実際の9月FOMC会合の結果は本記事の記述と異なる可能性があります。
※S&P500の水準(8月11日時点で直近の史上最高値7,757.64[8月7日]近辺で推移)は、2026年8月時点の市場データにもとづく概説です。
※「地政学リスクの高まりが金の買いにつながっている」「原油高による金利観測の変化が金相場に影響している」といった説明は、一般的に紹介される市場の見方にもとづく概説であり、金価格の変動要因を確定的に説明するものではありません。金価格は複数の要因が同時に影響するため、単一の要因のみで説明できるものではありません。
※記事内の金額試算(50万円・100万円保有時の評価額増減)は、金価格(ドル建て)の変動率のみをそのまま円建て評価額に当てはめた簡易な仮定計算であり、実際の為替(ドル円)変動・売買手数料・税金・信託報酬は考慮していません。実際の損益とは異なります。
※本記事で個別銘柄・個別ETF(1540・1326等)に言及していますが、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。言及した商品の信託報酬・仕組みは記事執筆時点の一般的な情報にもとづくものであり、投資判断の際は必ず最新の目論見書や証券会社の商品情報をご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。