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金(ゴールド)が2割超下落、それでも中央銀行の"金離れ"は起きていない——あなたのオルカン/S&P500への影響は?【2026年8月】

金は史上最高値から約27%下落、JPMorganは目標価格を25%下方修正。一方で中央銀行の購入量は第2四半期として過去最高。NISA成長投資枠での金投資の考え方を整理します。

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史上最高値から約27%下落——金(ゴールド)相場で何が起きているのか

投資初心者でも分かるように解説します。

(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)

2026年1月28日、金(ゴールド)は1オンス(約31.1グラム)あたり5,589〜5,608ドルという史上最高値をつけました。 トランプ大統領が自身のSNSで「大規模な艦隊がイランに向かっている」と投稿し、地政学リスクへの警戒から 「安全資産」としての金に買いが集中した局面です。ところがそれから半年余りが過ぎた8月3日時点、金価格は 1オンス4,050〜4,080ドル前後(先物・現物ともおおむね4,000ドル台前半)まで値下がりしました。史上最高値 からすでに約27%の下落です。

国内の小売価格にも変化が出ています。田中貴金属の店頭小売価格は1グラム=22,624円で、前日比771円の 下落。これは金そのものの国際価格(ドル建て)がほぼ横ばいだったにもかかわらず、7月31日(米東部時間)に 実施され8月3日に日本の財務相が正式に認めた日米協調の円買い介入による急激な円高が、円換算の金価格を 押し下げたためです。為替が金の円建て価格に与える影響については、 直前の記事で オルカン・S&P500への影響として詳しく解説しています。

なぜ主要金融機関は一斉に目標価格を下方修正したのか

金価格の急落を受け、大手金融機関は2026年末の目標価格を相次いで下方修正しました。最も大きな修正を 行ったのはJPMorganです。6月9日時点では6,000ドルという強気な目標を掲げていましたが、わずか1か月足らず 後の7月3日には4,500ドルへ、率にして25%もの下方修正を行いました。理由として挙げられているのは、 実質金利の上昇と現物需要の軟化です(なお同社は2027年については金価格が再び上昇に転じるシナリオを 維持しているとされます)。

JPMorgan以外の主要機関も同時期に予想を引き下げています。

  • Goldman Sachs: 4,900ドル
  • UBS: 5,500ドル(5月27日に5,900ドルから引き下げ)
  • BofA(Bank of America): 4,800ドル
  • Morgan Stanley: 約4,400ドル(ETF資金流入が大きく回復すれば5,200ドルまで上振れる可能性もあるとする)
  • Deutsche Bank: 4,800ドル

多くは史上最高値の5,600ドル台から1割〜2割ほど低い水準まで見通しを下げていますが、UBSの5,500ドルは 最高値から2%足らずの下落にとどまっており、機関によって弱気の度合いには差があります。

中央銀行の購入量は第2四半期として過去最高——「金離れ」はしていない

ここに、今回の金相場を理解するうえで欠かせない「ねじれ」があります。ウォール街の主要機関が軒並み 弱気に転じる一方で、各国の中央銀行はむしろ買いを増やしています。 World Gold Council (世界の金市場を調査する業界団体)が2026年7月30日に公表した最新統計によれば、2026年第2四半期 (4〜6月)の中央銀行による金の純購入量は288.9トンで、第2四半期としては統計開始以来最高、前年 同期比+62%でした。ポーランド(51トン)・中国(33トン)が主な買い手です。第1四半期は当初244トンと 発表されていましたが、その後57トンへ大幅に下方修正されており、四半期ごとの振れは大きいものの、 直近の第2四半期は明確な増加を示しています。

中央銀行の金購入は、年単位で見ると波があります。2022年に1,082トンという過去最高を記録した後、 2023年1,037トン→2024年1,045トン→2025年863トンと年間ベースではやや落ち着いていましたが、 2010〜2021年の平均(年473トン程度)と比べれば、その水準でもなお1.8倍前後の高水準でした。 今回の第2四半期の急増は、この「高止まりが続くのか、それとも一段と積み増す局面に入ったのか」 という問いに、後者寄りの材料を加えた形です。

World Gold Councilが76の中央銀行に2026年2〜5月に実施した別の調査では、89%が「世界全体の中央銀行の 金準備は今後12か月で増える」と予想している一方、「自国の保有を増やす計画」と回答したのは過去最高 ながら45%にとどまりました。中央銀行が金を買い増す理由としてよく挙げられるのが「脱ドル化」です。 外貨準備をドルだけに集中させるリスクを分散する目的で、金を積み増す国が増えているという見方です。 ウォール街の金融機関が「向こう数か月の価格」を見て予想を出しているのに対し、中央銀行は数年〜 数十年単位の準備資産戦略として金を保有している、と捉えると、価格見通しが弱気でも購入が続く 理由が理解しやすくなります。

金が上がる・下がると、あなたのオルカン/S&P500はどうなる?

ここが本題です。結論から言うと、金の値動きがオルカン・S&P500の基準価額(投資信託1口あたりの 値段)を直接動かすことはありません。オルカン(eMAXIS Slim全世界株式・オール・カントリー)もS&P500も、金を組み入れて いない株式インデックスファンドだからです。ただし、金と株式は「同じ理由で同時に上がったり下がったり しにくい」という低い相関関係が知られており、この性質がポートフォリオ全体のリスク分散に影響します。

具体的に考えてみます。例えば、オルカン・S&P500で90万円、金関連商品で10万円という合計100万円のポートフォリオ (金の比率10%)を保有していたとします。地政学リスクが高まり株式が下落する局面では、金が逆に買われて 評価額が下支えされることがあります。実際、2026年1月のイラン情勢緊迫時には金が急騰しました。逆に 今回のように金が史上最高値から約27%下落する局面では、金部分の評価額は目減りします。仮に金部分が この間と同程度(約27%)下落したとすると、10万円分は約7万3,000円まで減る計算です。ただし、その10万円は ポートフォリオ(PF)全体(100万円)の一部にすぎないため、金だけを保有している場合に比べて影響は 限定的になります。これが「分散」の考え方です (地政学リスクに対する資産の守り方は別記事でも 整理しています)。

積立投資家であれば、もう一つ具体例を考えてみましょう。例えば毎月3万円をオルカン・S&P500に積み立てている 人が、その一部(例えば3,000円分)を金関連商品に回すとします。金額としては小さくても、値動きの連動性が 低い資産を組み合わせることで、毎月の積立総額の値動きの振れ幅をわずかに緩和する効果が期待できます。 積立額の大部分を金に回す必要はなく、あくまで「一部を分散させる選択肢もある」という位置づけです。

逆に、金を一切保有せずオルカン・S&P500だけで積み立てている人にとっては、今回の値動きは 「自分のPFへの直接の影響はない」というのが答えになります。それでも、金という資産クラスが 半年余りで約27%動くという値動きの荒さを知っておくことは、「安全資産だから安定している」という 思い込みを避けるうえで役に立ちます。

NISA成長投資枠で金を検討する場合の選択肢

NISAの成長投資枠では、金に投資できる商品もいくつか存在します。代表的なものを挙げます(対象商品か どうかは証券会社の投資信託検索画面で必ず確認してください)。

  • 1540 純金上場信託: 東京証券取引所に上場するETF(上場投資信託・証券取引所で株式と同じように売買できる投資信託)。現物の金を国内で保管する形式で、信託報酬は年0.44%程度。金の国際価格(ドル建て)を円換算した価格に連動するため、為替ヘッジはなく為替変動の影響を受ける
  • 1326 SPDRゴールド・シェア: 米ドル建ての金価格に連動するETF。信託報酬は年0.40%程度とやや低めだが、1540と同様に為替ヘッジはなく為替変動の影響を受ける
  • ピクテ・ゴールド: 投資信託。為替ヘッジあり・なしの2つのコースがあり、「なし」のコースは1540・1326と同様に為替変動の影響を受ける
  • 三菱UFJ純金ファンド「ファインゴールド」: 投資信託。1540の受益証券に直接投資する形で運用されており、実質コストは1540単体よりも高め(合計で年0.99%程度)になる

ここで注意したいのは、1540も1326も、為替リスクの有無で選び分けることはできないという点です。 金の国際価格はドル建てで決まるため、円換算の評価額は保管場所(国内かドル建てか)にかかわらず為替変動の 影響を受けます。1540の届出目論見書にも「為替ヘッジを行いません」と明記されており、今回のように金の ドル建て価格が横ばいでも円高が進めば円換算の評価額は下がります(これはオルカン・S&P500の為替の仕組みと 同じです)。商品を選ぶ際の実質的な違いは、保管形態と信託報酬(コスト)になります。

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まとめ:金は「必須」ではないが、値動きの性質を知る価値はある

最後に整理します。

  • 金(ゴールド)は2026年1月28日に1オンス5,589〜5,608ドルの史上最高値をつけた後、8月3日時点では4,100ドル前後まで下落。史上最高値から約27%の下落となっている
  • JPMorganは2026年末目標価格を6月9日の6,000ドルから7月3日に4,500ドルへ25%下方修正。Goldman Sachs(4,900ドル)・UBS(5,200〜5,500ドル)・BofA(4,800ドル)・Morgan Stanley(5,200ドル)・Deutsche Bank(4,800ドル)も同時期に下方修正した
  • World Gold Councilの最新統計(2026年7月30日公表)では2026年第2四半期の中央銀行純購入量が288.9トンで四半期として過去最高(前年同期比+62%)。年間ベースは2022年の1,082トンから2025年の863トンへ落ち着いていたが、2010〜2021年平均の1.8倍前後は維持。調査では89%が「世界全体の金準備は増える」と予想する一方、「自国の保有を増やす計画」は45%にとどまる
  • 金の値動きはオルカン・S&P500の基準価額を直接動かさないが、株式との相関が低いためポートフォリオに組み入れると分散効果が期待できる。ただし金自体も短期間で2〜3割動くことがあり「安全資産=安定」ではない
  • NISA成長投資枠では1540(純金上場信託)や1326(SPDRゴールド・シェア)などで金に投資できるが、いずれも為替ヘッジはなく為替変動の影響を受ける点は共通。組み入れる場合は比率(目安5〜10%)と商品ごとのコストを比較して決めることが望ましい

「ウォール街は弱気なのに、中央銀行の確信はなぜ強いままなのか」という今回のねじれは、金という資産が 短期の値動きと長期の準備資産戦略という異なる2つの時間軸で語られていることの表れだと思います。 オルカン・S&P500中心の積立を続けている人にとって、金を保有するかどうかは必須の判断ではありませんが、 値動きの性質を知っておくことは、将来ポートフォリオを見直す際の材料になります。

個人的には、今のところ金をポートフォリオに組み入れる予定はありません。理由は単純で、オルカン・S&P500の 積立を続ける方針を決めた時点で「地政学リスクや為替変動が起きても積立を止めない」と割り切っているからです。 ただし、JPMorganが1か月足らずで目標価格を25%も下方修正した一方、中央銀行の購入量が第2四半期として 過去最高を記録したという「見立ての違い」自体は、資産をどう分散するかを考えるうえで面白い材料だと 感じています。

PFWiseのポートフォリオ診断では、株式・現金・コモディティといった資産クラス別の構成比を一枚で 確認できます。「自分のPFが何にどれだけ分散されているか」を数字で把握しておくと、金や為替のニュースが 流れてきても、感情ではなく数字で判断しやすくなります。

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免責事項

※本記事で触れた金価格・目標価格・中央銀行購入量等の数値は、Yahoo Finance・Forbes Advisor・ goldprice.org・World Gold Council・goldsilver.com等の報道・公表資料にもとづく2026年8月3日時点の 情報です。金価格は集計元(スポット・先物)や計測タイミングによって数値に幅があり、本記事では 複数ソースを参照したうえで代表的な水準を記載しています。金融機関の目標価格は将来の予想であり、 今後さらに改定される可能性があります。過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
※記事内の「10万円分が約27%下落すると約7万3,000円」といった試算は、価格変動のみを反映した仮定の 計算例であり、売買手数料・税金・信託報酬・為替変動は考慮していません。実際の損益を保証するもの ではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。 投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。 書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。