米30年国債利回りが2007年以来19年ぶり高水準に——それでもS&P500が反発した理由をNISA積立向けに解説【2026年7月29日・31日】
米30年国債利回りが2026年7月29日、FRBの政策金利据え置き発表を受け2007年以来19年ぶりの高水準に上昇。それでもS&P500は7月31日に反発。金利と株価の関係をNISA・オルカン積立投資家向けに解説します。
金利が19年ぶりの高水準なのに、株価は反発した2026年7月末
投資初心者でも分かるように解説します。
(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)
2026年7月29日、米国の30年国債利回りがFRB(米連邦準備制度理事会。日本の日銀にあたる米国の中央銀行)の政策金利据え置き発表を受けて上昇し、2007年7月以来およそ19年ぶりの高水準に達しました。長期金利がここまで上がるのは、教科書的には株式市場にとって逆風です。ところがその2営業日後、7月31日にS&P500は反発してその週、そして7月を終えました。金利は高止まりしたまま、株価は急落から急反発へ。この一見かみ合わない2つの動きが、オルカンやS&P500を積み立てているあなたの資産にどう関わるのかを、数字で整理します。
米30年国債利回り、2007年以来19年ぶりの高水準に
まず金利側の動きを時系列で見ていきます。2026年7月9日、Bloombergは30年国債の入札で約20年ぶりの高利回りを記録したと報じました。国が新規に国債を発行して投資家に買ってもらう「入札」の場で、それだけ高い利回りを提示しないと買い手がつきにくくなっていた、ということです。
7月22日時点では、Bloombergが「30年債利回りが5%を超えた状態が2007年以来最長期間続いている」と報道しました。そして7月29日、FRBが政策金利を据え置くと発表した直後、30年国債利回りは5.201%まで上昇し、2007年7月以来およそ19年ぶりの高水準に達しました(CNBC報道。その後5.244%まで上昇したとの報道もあります)。2007年といえば、翌年に世界金融危機(リーマン・ショック)が起きる前年です。もっとも、当時の水準に並んだこと自体が当時と同じ結末を予告するものではなく、あくまで「それだけ長い期間を振り返っても例のない水準」という物差しとして捉えるのが妥当だと思います。
実はこれは突然始まった動きではありません。2026年5月の時点で、同じ30年国債利回りは既に5.19〜5.2%台に達し「2007年以来の水準」と報じられていました。今回7月29日の上昇は、5月以降続いていた高止まり局面が、FOMCというきっかけを経てさらに一段強まった形と見るのが実態に近いようです。
なぜここまで長期金利が上がっているのか。報道で指摘されている背景は主に3つです。1つ目は財政赤字の拡大にともなう国債発行量の増加(需給の悪化)。2つ目はインフレの根強さ・加速への警戒。3つ目は、市場が「次は利下げ」ではなく「利上げの可能性もある」と意識し始めている点です。実際、7月29日のFOMCで政策金利3.50〜3.75%への据え置きに反対した3人の委員は、全員が「利上げすべき」という立場でした(2016年9月以来10年ぶりの構図。この投票の詳細は別記事で解説しています)。
なぜ長期金利が上がるとハイテク株・グロース株に逆風なのか
長期金利の上昇がなぜ株価、特にグロース株(成長株)やハイテク株に逆風になりやすいのか。理屈を整理します。
株価は理論上、その企業が将来生み出す利益を、今の価値に割り引いて足し合わせたものとされています。この「割り引く」際に使われる基準の1つが金利です。長期金利が上がるほど、遠い将来の利益ほど「今の価値」に換算したときに目減りしやすくなります。まだ利益の多くが数年先・十数年先にあると期待されている成長株・ハイテク株は、この影響を受けやすい構造にあります。
S&P500はこうしたハイテク企業の比率が高い指数のため、理屈のうえでは長期金利の上昇局面で下押し圧力を受けやすいとされています。実際、FOMC当日の7月29日、S&P500は前日比-1.52%の7,316.15まで下落し、ダウ平均も一時1,100ドル超下落しました。
金利が上がるとどうなる?
ここまでの理屈だけを見ると、長期金利が19年ぶりの高水準なら株価はしばらく下がり続けそうだと考えたくなります。ところが実際の値動きは違いました。
7月29日に7,316.15まで下落したS&P500は、2営業日後の7月31日には前日比+0.7%の7,489.72まで反発しました。ナスダック総合指数は+1%の25,373.85、ダウ平均は+276.97ドル(+0.53%)の52,485.03で取引を終え、4か月連続の月間プラスとなりました。反発を牽引したのはAmazon株の急伸だったと報じられています。30年国債利回り自体は高止まりしたままで、金利側の環境が好転したわけではありません。
この「金利は重荷のままなのに株価は反発した」という組み合わせをどう理解すればいいのでしょうか。ポイントは、株価は金利だけで動いているわけではないという点です。決算シーズンの好材料(今回はAmazon株の急伸)のような短期の企業業績・需給要因が、その日1日については長期金利の重荷を上回った、という理解が実態に近いと思います。金利の逆風がなくなったのではなく、その日はほかの材料のほうが強かった、ということです。日々の値動きは金利・決算・需給など複数の力がその都度綱引きした結果であり、どちらか一方だけを見て「もう大丈夫」「まだ危ない」と結論づけるのは早計だと感じます。
2026年7月29日の終値7,316.15から7月31日の終値7,489.72までの2営業日では、指数はプラス方向に+2.37%動いた計算になります(2日間の終値だけをもとにした単純計算で、その間の日々の値動きは反映していません)。仮に100万円をS&P500に投資していたとすると、7月29日の下落だけを見れば含み益(売らずに保有したままの状態での評価益)が一時的に約1.5万円目減りした計算ですが、7月31日の反発分だけでも+0.7%、金額にして約7,000円分の含み益が積み上がったことになります。
あなたのオルカン・S&P500への影響は?
新NISAでオルカンやS&P500を積み立てている25〜45歳くらいの会社員読者(この記事では「タケシさん」と呼びます)に、あらためて確認してほしい問いがあります。「今回の金利ニュースを見て、自分の積立を止めたくなったか?」という問いです。
まず整理しておきたいのは、オルカンやS&P500(全世界株式・米国株式指数に連動する投資信託)は株式だけに投資する商品だという点です。今回話題になっている30年国債そのものを保有しているわけではありません。ただし米国株式市場全体、なかでもPERの高いハイテク株の比率が高いS&P500は、長期金利の動きに株価が左右されやすい構造にあります。全世界の株式に分散するオルカンは、米国以外の資産も含むぶん、S&P500だけに投資するよりも今回のような米国発の金利の動きの影響はいくらか和らぐ傾向があります。
もし7月29日の下落(-1.52%)だけを見て積立を止めていたら、2営業日後の7月31日の反発(+0.7%)は受け取れなかったことになります。もちろん今回反発したからといって、次も同じように反発するとは限りません。ただ「金利が高止まりしている、だからしばらく株価は下がり続ける」という単純な図式でも、「反発した、だからもう金利の影響は終わった」という単純な図式でもないというのが、この2日間が教えてくれることだと思います。
私自身、以前は長期金利や利上げのニュースを見るたびに「そろそろ積立を減らしたほうがいいのでは」と不安になり、実際に積立額を一時的に3割ほど減らしたことが何度かあります。結果としてその後の反発局面で買えたはずの口数を取り逃し、後から振り返ると「あのとき減らさなければよかった」と感じたことのほうが多かったです。今回のような「金利は高止まりしたまま株価は反発」という日を見ると、以前の自分ならまた同じように積立を迷ったと思います。ただ今は、金利ニュースの見出しの大きさと、自分の口座の実際の増減額を分けて見るようにしています。見出しは19年ぶりでも、自分の資産の増減は数千円〜数万円単位の話であることのほうが多いからです。
今すぐできる3つのアクション
まとめ:金利は高止まり、株価は反発——2つを分けて見る
最後に整理します。
- 米30年国債利回りは2026年7月29日、FRBの政策金利据え置き発表直後に5.201%(その後5.244%との報道も)まで上昇し、2007年7月以来およそ19年ぶりの高水準となった。5月以降の高止まり局面が7月末にさらに強まった形
- 背景には財政赤字拡大による国債需給の悪化、根強いインフレへの警戒、市場が利上げの可能性を意識し始めている点がある。FOMCの反対票3人も全員利上げ主張だった(投票の詳細は別記事)
- S&P500はFOMC当日の7月29日に-1.52%の7,316.15まで下落したが、2営業日後の7月31日には+0.7%の7,489.72まで反発。ナスダック総合+1%・ダウ+0.53%(4か月連続月間プラス)、Amazon株の急伸が牽引した
- 長期金利の上昇は理論上グロース株・ハイテク株に逆風だが、今回は決算シーズンの好材料が短期的にその重荷を上回った。金利の逆風が消えたわけではなく、その日はほかの材料が強かったという理解が実態に近い
- オルカン・S&P500は株式のみの商品で30年国債そのものは保有していないが、米国株全体、特にハイテク比率の高いS&P500は長期金利の影響を受けやすい構造にある。金利ニュースの見出しの大きさと、自分の資産の実際の増減額(数千円〜数万円単位)を分けて見ることが積立継続の支えになる
金利は高止まりしたまま、株価は急落から急反発へ。2026年7月末の2営業日は、金利と株価の関係が教科書どおりには進まないことを示す一例だったと思います。オルカン・S&P500の積立投資家にとって大事なのは、金利ニュースの大きさに引っ張られて売買判断を変えることよりも、自分の資産が実際にいくら動いたのかを数字で確認する習慣だと感じています。
PFWiseのポートフォリオ診断では、保有資産の評価額や増減を一枚で確認できます。今回のような「金利が大きく報じられた日」に自分の数字を確認しておくと、次に似たニュースが出たときも見出しでなく自分の数字で受け止めやすくなると感じています。
関連書籍(もっと学びたい方へ)
サイコロジー・オブ・マネー
モーガン・ハウセル
「金利が19年ぶりの高水準」という見出しを見て積立を止めたくなったときに読み返したい1冊。お金にまつわる判断の多くが心理学的な問題であることを教えてくれ、今回のような値動きの荒い局面でも握力を保つための思考フレームが身につく。
JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則
ニック・マジューリ
金利や相場のニュースが荒れるたびに積立額を減らしたくなる人にこそ読んでほしい1冊。「とにかく買い続ける」ことの根拠をデータで示しており、今回のような急落から反発の2日間を振り返るときの拠り所になる。
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免責事項
※本記事で触れた米30年国債利回り(2026年7月29日時点5.201%・その後5.244%まで上昇との報道あり、2007年7月以来の高水準)は、CNBC「30-year Treasury yield hits highest level since 2007 after Fed keeps rates unchanged」(2026年7月29日付)にもとづく概説です。2026年5月時点の5.19〜5.2%台、7月22日時点の「5%超えで2007年以来最長期間の高止まり」、7月9日の30年国債入札における約20年ぶりの高利回りは、いずれもBloombergの報道にもとづく概説であり、PFWiseが独自に検証・保証するものではありません。
※S&P500・ナスダック総合指数・ダウ平均の数値(7月29日終値7,316.15・7月31日終値7,489.72・ナスダック総合25,373.85・ダウ平均52,485.03等)、および7月31日の反発をAmazon株の急伸が牽引したとする記述は、CNBC「S&P 500 closes higher Friday as Amazon surges」(2026年7月30〜31日付)およびYahoo Financeの報道にもとづく概説であり、将来の値動きを保証するものではありません。
※FRBの金融政策(2026年7月29日のFOMCでの政策金利据え置き・投票結果)に関する詳細は別記事で解説しており、本記事では前提として簡潔に触れるにとどめています。
※記事内の金額試算(100万円のS&P500投資時の含み益・含み損試算、2営業日の変化率+2.37%の試算等)は説明のための概算・単純化した仮定であり、実際の指数の値動きや個人の損益とは異なります。特に2営業日の変化率は、2つの終値をもとにした単純計算であり、その間の日々の値動きを反映したものではありません。
※新NISA制度の非課税投資枠(成長投資枠年240万円・つみたて投資枠年120万円・生涯1,800万円[うち成長投資枠1,200万円])は2024年制度開始時点の枠組みにもとづく説明です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄・国債の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。