S&P500・ダウがそろって史上最高値、同じ日の引け後にAMDとスペースXは好決算で株価下落——あなたのオルカン/S&P500への影響は?【2026年8月4日】
2026年8月4日、S&P500は7,737・ダウは54,086で史上最高値を更新。同じ日の引け後に決算を発表したAMDとスペースXは市場予想を上回ったのに株価下落。指数と個別株のリアクションが別物である理由をNISA積立投資家向けに解説。
同じ日に、正反対に見える2つのニュースが出た
投資初心者でも分かるように解説します。
(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)
2026年8月4日、米国株式市場では2つのニュースが同じ日に出ました。1つは、S&P500とダウ平均がそろって史上最高値を更新したこと。もう1つは、注目されていたAMDとスペースXの決算が「市場予想を上回ったのに株価は下落」したことです。
ニュースの見出しだけを追うと、この2つは矛盾して見えます。「株価が上がった日」なのか「株価が下がった日」なのか、どちらなんだ、と。オルカンやS&P500を積み立てている人にとっては「自分の資産は増えたのか減ったのか」が分からなくなる状況です。
この2つは矛盾していません。指数全体の値動きと、個別銘柄の決算リアクションは別の数字だからです。しかも今回は、両者がついた時間帯まで違いました。
S&P500は7,737、ダウは54,086。2つの指数が同じ日に最高値を更新した
まず指数の数字です。2026年8月4日、S&P500は終値7,737をつけました。前日比+1.79%です。これは2026年6月2日につけた史上最高値7,609.78を約1.7%上回る水準で、およそ2か月ぶりの最高値更新となりました。
ダウ平均はさらに分かりやすい節目を超えています。終値54,086、前日比+908ポイント(+1.71%)。史上初めて54,000ポイントを突破しました。2026年7月6日につけた従来の最高値53,055.91を、約1.94%上回っています。ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は前日比+2.59%と、3つの指数の中で最も大きく上げました。
上昇材料として報じられているのは3つです。決算シーズンが好調に進んでいること、7月末にかけて売られていたテック株が反発したこと、そしてホルムズ海峡の再開への期待です。ホルムズ海峡はペルシャ湾と外洋を結ぶ狭い海峡で、世界の原油輸送が通る要衝にあたります。ここが再開に向かうということは、原油の供給不安が和らぐ、つまり地政学リスク(戦争や紛争など、政治的・軍事的な情勢が経済に与えるリスク)が後退する方向の材料です。
ここまでは、オルカン・S&P500を積み立てている人にとって素直に良いニュースです。問題はこの後に出たニュースのほうでした。
引け後に出たAMDの決算:数字は予想超え、株価は約8%下落
同じ8月4日、米国市場の取引終了後にAMDが決算を発表しました。AMDは米国の半導体メーカーで、S&P500の情報技術セクター(業種のまとまりのうち、半導体・ソフトウェア・IT機器などが分類される区分)に含まれる銘柄です。
発表された数字はこうでした。第2四半期のEPS(1株あたり利益)は1.66ドル、売上高は115億ドル。どちらもアナリスト予想を上回りました。さらに第3四半期のガイダンス、つまり会社自身が示す次の四半期の業績見通しも、市場予想を上回る強い内容でした。
実績もガイダンスも予想超え。それでも時間外取引で株価は約8%下落しました。報道では、設備投資が市場予想を大きく上回るペースで増えフリーキャッシュフロー(手元に残る現金)が前四半期より減ったことも売られた一因として挙げられており、「好決算でも、期待値の高さから失望売りが出た」という説明とあわせて理解しておきたいところです。
スペースXの上場後初決算も、予想を上回って株価は下落
同じ8月4日の取引終了後、スペースX(ティッカー$SPCX)も決算を発表しました。スペースXは2026年6月12日にナスダックへ上場したばかりで、今回が上場後で初めての決算発表にあたります。
数字を並べます。第2四半期の売上高は78億ドル。市場予想、つまりBloombergがまとめたアナリスト予想の平均である68.1億ドルを上回りました。前四半期の47億ドルからも増収です。調整後EBITDAは35億ドルで、こちらは予想の20億ドルを大幅に上回りました。ただし最終的な損益は赤字です。第2四半期の純損失は5億4,100万ドル(1株あたり-0.09ドル)で、市場予想の-0.26ドルよりは赤字幅が小さく着地しました。調整後EBITDAが黒字でも、最終的な損益は赤字という状態です。
発表された数字をもう2つ並べると、この会社の性格が見えてきます。売上高78億ドルに対し、設備投資は183.7億ドル。稼いだ金額を大きく上回る規模の資金を、ロケットや衛星などの設備に投じている会社だということです。前四半期の設備投資(約101億ドル)からも大きく増えています。
それでも、市場予想を上回る決算内容だったにもかかわらず、スペースXの株価は下落しました。報道では、この設備投資の急増が下落の主な理由の1つとして挙げられています。予想を上回ったのは売上高とEBITDAで、市場が見ていたのはその先の投資負担だった、という読み方です。AMDも設備投資の増加とキャッシュフローへの影響が指摘されており、同じ構図が両社に共通しています。
なぜ「良い決算」で株価が下がるのか
ここが今回いちばん初心者がつまずくところだと思います。数字が予想より良かったのに、なぜ売られるのか。
理由を一言でいうと、株価が反応するのは決算の内容そのものではなく、決算と事前の期待との差だからです。決算発表の前、株価にはすでに「たぶん良い決算が出るだろう」という予想が織り込まれています。実際に良い決算が出ても、それが織り込まれていた期待と同じ程度なら、株価にとっては新しい材料になりません。むしろ「良い決算を待って買っていた人」が発表を確認して売りに回るため、株価が下がることがあります。
AMDについて確認できる事実を1つ挙げます。7月末の半導体株の急反発局面で、AMDは7月30日に1日で+13.0%上昇していました(この週の経緯は別記事で整理しています)。決算発表を迎える前の数日間で、すでに買われていた事実はあるわけです。そこから先、株価がさらに上がるには「予想を上回る」だけでは足りなかった、という読み方はできると思います。ただし、これは私の読み方であって、下落の理由が公式に説明されたわけではありません。
スペースXの場合は、上場後で初めての決算という事情も重なります。上場したばかりの企業は比較の基準になる過去の決算がなく、投資家それぞれが独自の期待を持っている状態です。その期待の水準が高ければ、予想を上回る数字でも足りないと判断されることがあります。
時間帯のズレ:8月4日の終値7,737に、AMDとスペースXの下落は入っていない
ここでもう1つ、見落とされやすい整理をしておきます。
S&P500の8月4日の終値7,737は、米国東部時間16時に取引が終了した時点の数字です。一方でAMDとスペースXの決算は、いずれもその取引終了後に発表されました。約8%という下落は、取引終了後の時間外取引でついた値動きです。
つまり同じ「8月4日」というラベルがついていても、S&P500が最高値をつけた瞬間と、AMDが8%下げた瞬間は、時間が違います。この日のS&P500終値7,737には、AMDとスペースXの下落は入っていません。
「指数は最高値なのに話題株は急落」というニュースの並びに違和感を覚えたら、まず時間帯を確認する。これは決算シーズンのあいだ、何度も使える見分け方だと思います。
指数が最高値を更新すると、あなたのポートフォリオはどうなる?
ここから金額の話です。数字を自分の資産に換算すると、ニュースの受け止め方が変わります。
ケース1:S&P500の指数が+1.79%上がった場合
S&P500に連動する投資信託を100万円分保有していたとすると、8月4日の+1.79%はおよそ+1万7,900円です。500万円分なら、およそ+8万9,500円。500万円分を保有していて毎月3万円を積み立てている人なら、この1日の値動きが約3か月ぶんの積立額に相当したことになります(100万円分の場合はおよそ0.6か月ぶんです)。
ケース2:オルカン(全世界株式)を保有している場合
オルカンは米国の比率がおよそ6割です。100万円分のオルカンなら米国部分はおよそ60万円。ここにS&P500と同じ+1.79%が効いたと単純に置くと、およそ+1万700円という計算になります。残りの4割は欧州・日本・新興国などで、8月4日の米国市場の上昇はここには直接効きません。同じ日でも、S&P500だけを持っている場合よりは効き方が薄まります。
ケース3:ダウ平均に連動する商品を保有している場合
100万円分の保有なら、+1.71%でおよそ+1万7,100円です。
では、下がったほうはどうでしょうか。AMDの時間外での約8%下落を、仮にAMD株を10万円分だけ個別に保有していた場合にあてはめると、およそ-8,000円です。ここで確認しておきたいのは、この-8,000円はAMDを個別に持っていた人にだけ生じた数字だという点です。
S&P500を通じてAMDに触れている場合、効き方はまったく変わります。AMDはS&P500の構成銘柄のうちの1社にすぎません。半導体関連株全体で見ても、S&P500に占める比率は2026年7月時点で19.7%です(情報技術セクター全体では2026年7月4日時点で約33.3%)。1社ぶんの下落は、この中でさらに小さく薄まって届きます。
同じ「AMDが8%下げた」というニュースでも、個別株で持っている人と、S&P500の中に含まれている人とでは、資産に効く金額の桁が違う。これが今回の対比から取り出せる一番実用的な部分だと思います。
スペースXはS&P500の構成銘柄ではない
スペースXについては、もう1つはっきりさせておきたいことがあります。スペースXはS&P500の構成銘柄ではありません。2026年6月12日にナスダックへ上場したばかりだからです(上場時の経緯は別記事で整理しています)。
構成銘柄でない以上、スペースXの株価が上場後にどう動いても、S&P500に連動する投資信託の基準価額には直接は効きません。「話題の企業が上場した」「その決算で株価が下がった」というニュースは、S&P500・オルカンの積立とは切り離して受け止めて構わない、ということです。
逆にいうと、スペースXの値動きを自分の資産に取り込みたければ、個別に買うしかありません。そしてそれは、今回のような「予想超えでも下落」の値動きをそのまま受け止めることを意味します。
あなたのオルカン・S&P500への影響は?
新NISAでオルカンやS&P500を積み立てている25〜45歳くらいの会社員読者(この記事では「タケシさん」と呼びます)に聞いてみたいことがあります。8月4日のニュースを見て、あなたが最初に思ったのは次のどちらでしたか。
- 「決算で8%下落って書いてあるけど、自分のS&P500・オルカンは大丈夫だろうか」
- 「S&P500が最高値らしいけど、こんな高いところで積み立てて大丈夫だろうか」
1つ目の不安には、ここまでの数字で答えが出ています。8月4日のS&P500終値7,737にAMD・スペースXの下落は入っておらず、そもそもスペースXは構成銘柄ですらない。100万円分の保有なら、この日はおよそ+1万7,900円です。
2つ目のほうが、私には身に覚えがあります。以前、指数が高値圏にあった時期に「さすがに高すぎる、下がってから買おう」と考えて積立を止めたことがありました。ところが待っているあいだに指数はさらに上がり、結局その半年ぶんは何も買えないまま過ぎました。下がるのを待った時間そのものが、機会を減らしていたわけです。それ以来、高値でも積立は止めないと決めています。
最高値の更新は、積立をしている人にとっては保有資産の評価額が増えたということです。同時に、これから買う分の単価は上がっています。この2つは同時に起きていて、どちらか片方だけを見ると判断を誤ります。私が今も自分に確認しているのは、この日の値動きが自分の総資産の何%だったのか、という一点だけです。
今すぐできる3つのアクション
まとめ:8月4日に起きたことを、時間順に並べ直す
- 2026年8月4日、S&P500は終値7,737(前日比+1.79%)で6月2日の史上最高値7,609.78を約1.7%上回り、およそ2か月ぶりに最高値を更新した
- ダウ平均は54,086(前日比+908ポイント・+1.71%)で史上初めて54,000ポイントを突破し、7月6日の従来の最高値53,055.91を約1.94%上回った。ナスダック総合指数は+2.59%
- 上昇材料として報じられたのは、好調な決算シーズン・テック株の反発・ホルムズ海峡の再開への期待(地政学リスクの後退)の3つ
- 取引終了後、AMDが第2四半期のEPS1.66ドル・売上高115億ドルとアナリスト予想を上回る決算を発表し、第3四半期のガイダンスも市場予想を上回った。それでも時間外取引で株価は約8%下落した
- 同じく取引終了後、スペースX($SPCX)が上場後で初めての決算を発表。売上高78億ドルは市場予想68.1億ドルを上回り前四半期の47億ドルから増収、調整後EBITDA35億ドルも予想20億ドルを大幅に上回ったが、株価は下落した(設備投資は183.7億ドル)
- 株価が反応するのは決算の内容そのものではなく、決算と事前の期待との差。良いニュースが出た瞬間に売られる現象はSell the News(材料出尽くし)と呼ばれる
- 8月4日のS&P500終値7,737は米国東部時間16時時点の数字で、その後に発表された両社の決算による下落は含まれていない
- スペースXはS&P500の構成銘柄ではなく、オルカン・S&P500への直接の影響はない。AMDはS&P500の情報技術セクターに含まれるが、半導体関連株全体でもS&P500の19.7%(2026年7月時点)で、1社ぶんの下落はその中でさらに薄まる
- 金額に直すと、S&P500を100万円分保有していれば8月4日の+1.79%はおよそ+1万7,900円、500万円分ならおよそ+8万9,500円。米国比率およそ6割のオルカンを100万円分なら、米国部分に同率が効いたと単純計算しておよそ+1万700円
「指数は史上最高値」と「注目株が好決算で下落」は、同じ日に並んでいても別々の数字です。片方はあなたの積立の評価額に効き、もう片方は個別に持っていた人にだけ効きました。
PFWiseのポートフォリオ診断では、保有資産のセクター別・銘柄別の構成比と評価額を一枚で確認できます。決算シーズンのように個別企業のニュースが増える時期ほど、見出しの変動率ではなく自分の資産に対する金額で確認しておくと、次のニュースにも同じ物差しで向き合えると感じています。
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免責事項
※本記事で触れた2026年8月4日の指数の数値(S&P500終値7,737・前日比+1.79%、ダウ平均終値54,086・前日比+908ポイント/+1.71%、ナスダック総合指数の前日比+2.59%)、および比較対象とした過去の最高値(S&P500の2026年6月2日終値7,609.78・ダウ平均の2026年7月6日終値53,055.91)は、2026年8月4日時点でReuters・Bloomberg・CNBC等の報道機関により報じられている情報にもとづく概説であり、PFWiseが独自に検証・保証するものではありません。「ダウ平均が史上初めて54,000ポイントを突破」との記述は、同日の報道で明示されている内容の引用です。過去の値動きや実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。史上最高値の更新は、その後の上昇を約束するものでもありません。
※AMDの決算内容(第2四半期のEPS1.66ドル・売上高115億ドル・第3四半期ガイダンスがいずれもアナリスト予想を上回ったこと、時間外取引での約8%下落)、およびスペースXの決算内容(第2四半期の売上高78億ドル・市場予想68.1億ドル・前四半期47億ドル・調整後EBITDA35億ドル・予想20億ドル・設備投資183.7億ドル、決算内容が市場予想を上回ったにもかかわらず株価が下落したこと)は、いずれも2026年8月4日の取引終了後に報じられている情報にもとづく概説です。時間外取引での株価変動率は取引時間終了後の暫定的な数値であり、翌営業日の確定した終値とは異なります。
※「良い決算でも株価が下落した理由」に関する記述(事前の期待が織り込まれていたとの説明・AMDが7月30日に+13.0%上昇していた事実からの推論・スペースXが上場後初決算であることの影響)は、公表された事実にもとづく筆者の解釈であり、両社の株価下落について公式に説明された理由ではありません。
※S&P500における半導体関連株の構成比19.7%(2026年7月時点)・情報技術セクター比率約33.3%(2026年7月4日時点)は、本文中でリンクした別記事で扱った時点の数値であり、2026年8月4日時点の最新値ではありません。オルカン(全世界株式)の米国比率およそ6割も概算です。
※記事内の金額試算(100万円/500万円保有時の評価額の増減、オルカンの米国部分への影響試算、AMD株10万円保有時の試算等)は説明のための概算・単純化した仮定であり、実際のS&P500・オルカンの構成比や個人の損益とは異なります。特にオルカンへの影響試算は「米国部分がS&P500と同率で上昇した」と仮定した単純計算です。
※S&P500の構成銘柄採用基準に関する記述は制度の概要であり、個別の採用可否や時期を予測するものではありません。スペースXが2026年6月12日にナスダックへ上場したこと、および同社がS&P500の構成銘柄ではないことは本記事執筆時点の事実です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。