原油88ドル台に急伸、クウェート水道施設も標的に——中東リスク再燃とあなたのポートフォリオ【2026年7月】
6月の米イラン停戦が崩壊、7月17〜18日にはクウェートの水道施設が攻撃され原油が88ドル台に急伸。5カ月続く中東リスクとオルカン・S&P500への影響を数字で整理します。
停戦から1カ月、再び戦闘が激化——何が起きているか
投資初心者でも分かるように解説します。
(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)
2026年2月28日に始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突は、2026年6月17日、米国とイランが停戦の覚書に 署名したことでいったん収束に向かうかに見えました。しかし停戦は長続きせず、7月に入って両者の攻撃の応酬が 再び激しくなっています。
現地報道によると、7月7日にはホルムズ海峡でタンカー3隻が相次いで攻撃を受けました。7月12日には、 米国がイランによるコンテナ船攻撃を非難したうえでイラン国内の目標を攻撃しました。これに対しイラン側も、 アラブ首長国連邦・カタール・クウェート・オマーン・バーレーンへミサイルとドローンで報復したと報じられています。
そして7月17〜18日、事態はさらに一段深刻な局面に入ります。クウェートの電力・水・再生可能エネルギー省の発表として、 同国の水道(淡水化)・発電施設が2日連続でイランの攻撃を受け、火災が発生したと報じられました。 クウェートは飲料水のおよそ9割を海水淡水化に依存しており、水インフラそのものが攻撃対象になったことは、 これまでのタンカー攻撃とは性質の異なる深刻さを持つ出来事として受け止められています。
この一連の報道を受け、原油(ブレント)先物は前日比およそ4.6%高の1バレル88.10ドルで取引を終え、 1カ月ぶりの高値圏となりました。米国産WTI原油も同4.5%高の1バレル82.49ドルまで上昇しています (いずれも現地報道ベース)。6月17日の停戦覚書時点(1バレル80ドル台前半)と比べると、原油はおよそ9%高い水準にあるとされています。
原油価格が上がるとどうなる?——生活・インフレ・金利への影響
ここで、そもそも「原油価格が上がるとどうなるか」を整理しておきます。原油はガソリン・灯油はもちろん、 プラスチックや化学製品、輸送コストなど幅広いモノの価格に影響する、経済の土台となる資源です。
- 生活コストへの影響: ガソリン代・電気代・輸入品の価格上昇として、家計に直接跳ね返る
- 輸入インフレ圧力: 原油を輸入に頼る日本のような国では、円建ての輸入コストが上昇し、物価全体を押し上げる方向に働く
- 金融政策への影響: インフレ圧力が強まると、中央銀行が金利を高めに維持する(あるいは引き上げる)動機になりやすい
つまり原油高は、特定のセクターだけの話ではなく「インフレ→金利観測→株価」という経路で、 オルカンやS&P500を含む市場全体にじわりと効いてくる性質のリスクです。個別企業のニュースとは 異なり、避けようのないマクロ要因である点に注意が必要です。
あなたのオルカン・S&P500への影響は?
では、タケシさんのように新NISAでオルカンやS&P500を積み立てている人にとって、この原油高・中東リスクは 具体的にどう効いてくるのでしょうか。ポイントは2つです。
1つ目は、この記事の前半で見た「インフレ→金利→株価」という間接的な経路です。原油高そのものが、 直接どこかの銘柄を暴落させるわけではありません。インフレ観測や金利観測を通じて、 じわじわと市場心理に影響していく性質だと理解しておきましょう。
2つ目は、エネルギー価格の上昇局面ではエネルギー関連企業の株価が相対的に上昇しやすいという点です。 オルカン・S&P500はいずれもエネルギーセクターの企業を一定の比率で含んでおり、原油高が指数全体への 下押し圧力を一部相殺する効果も持ちます。どの銘柄がどれだけ恩恵を受けるかを個別に当てにいく必要はなく、 数百〜数千社に分散されたインデックスが自動的にその分散効果を反映してくれます。
実際、7月17日の終値7,457.69(前日比マイナス1.01%)は、同日に世界的に広がった半導体株売りが主因と 報じられており、この原油高・中東リスクの再燃だけを理由にS&P500が大きく崩れたわけではありません。 指数全体で見ると、単一の地政学リスクが株価全体を大きく動かす場面は、この5カ月間を通じてもごく限定的でした。
5カ月続く中東リスク、S&P500はどう推移してきたか
実はこの中東情勢は、2026年2月28日の開戦以来、すでに5カ月近く続いています。この間、原油価格は 1バレル120ドル超まで急騰した局面もあれば、停戦観測で70ドル台まで落ち着いた局面もありました。 その間、S&P500がどう動いてきたかを振り返ると、分散投資の効果がよく分かります。
複数の海外報道によると、S&P500は開戦直後の2026年2月28日から3月30日の安値まで、 およそ8%下落しました。しかしそこからの回復は早く、 開戦(2月28日)からおよそ50日後の4月22日には最高値を更新したと報じられています。 この日の終値は7,137.9で、3月30日の安値からは3週間ほど・およそ13%の上昇でした。
これを金額に置き換えてみます。仮に2026年2月末の時点で100万円をS&P500に投資しており、 3月30日の安値でそのまま持ち続けていたとします。
- 3月30日の安値時点: 100万円 × (1-8%) ≒ 92万円
- そこから3週間ほど後(4月22日ごろ): 92万円 × (1+13%) ≒ 104万円
戦争が始まって1カ月で資産が8%目減りする局面があっても、慌てて売らずに持ち続けていれば、 2カ月足らずでプラス圏まで回復していた計算です。もちろんこれは過去の一例であり、 今回の再燃局面が同じように推移すると保証するものではありません。ただ、 「地政学リスク→株価下落→やがて回復」という値動きのパターンが、この5カ月間で少なくとも一度 実際に起きていたことは、覚えておく価値のある事実です。
正直に言うと、戦争や攻撃のニュースが流れるたびに「今度こそ大きく崩れるのでは」と不安になる気持ちは よく分かります。私自身、ニュースを見て積立を止めたくなる瞬間はあります。 それでも、個別のニュースに反応して売買タイミングを計るより、数百〜数千社に分散されたインデックスを 機械的に積み立て続ける方が、この5カ月の値動きを見る限り再現性が高いと考えています。
今すぐできる3つのアクション
まとめ:地政学リスクは避けられないが、分散投資で薄まる
最後に整理します。
- 2026年6月17日の米国・イラン停戦覚書は長続きせず、7月に入って攻撃の応酬が再燃した
- 7月17〜18日、クウェートの水道(淡水化)・発電施設が2日連続で攻撃を受けたと報じられ、原油(ブレント)は前日比4.6%高の88.10ドルまで急伸(1カ月ぶり高値)
- ホルムズ海峡のタンカー通航数は平時100隻超/日→8隻/日(7月16日時点)まで激減している
- 原油高は「生活コスト→輸入インフレ→金利観測」という経路で市場全体にじわりと影響するマクロ要因であり、個別企業のニュースとは性質が異なる
- それでもS&P500の7月17日終値は7,457.69(前日比-1.01%)にとどまり、この日の下落は半導体株売りが主因と報じられている
- 開戦(2月28日)から3月30日まで約8%下落したS&P500は、開戦からおよそ50日後(4月22日)に最高値を更新した実績がある(安値からは3週間ほどで100万円が92万円→104万円に回復した計算)
中東情勢のような地政学リスクは、個人が発生タイミングも収束タイミングも予測することはできません。 できるのは、それが起きたときに慌てて売買しない仕組みを、あらかじめ作っておくことだけです。 オルカン・S&P500の積立は、まさにその仕組みです。
PFWiseのポートフォリオ診断では、保有資産のセクター別構成比を一枚で確認できます。 「自分のポートフォリオはエネルギー価格の変動にどれくらい影響を受けやすいか」を数字で把握しておくと、 こうしたニュースが流れてきても、感情ではなく数字で判断しやすくなります。
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免責事項
※本記事で触れた米国・イラン間の軍事動向、クウェートの水道・発電施設への攻撃、ホルムズ海峡の
タンカー通航状況、原油(ブレント・WTI)価格の数値は、2026年7月17〜18日時点で現地報道
(Al Jazeera、NBC News、CNBC等)が伝えている情報にもとづく概説であり、今後の状況変化により
大きく変わる可能性があります。軍事・外交上の評価や見通しについて断定するものではありません。
※S&P500の数値(2026年2月28日開戦時からの下落率、3月30日安値、4月22日終値7,137.9、
7月17日終値7,457.69等)は複数の海外報道にもとづく概説です。記事内の「100万円が92万円→104万円」
という試算は、報道された下落率・上昇率をそのまま単純計算した仮定の数値であり、
売買手数料・税金・為替変動は考慮していません。実際の損益を保証するものではなく、
今回の中東情勢の再燃が過去と同じように推移することを示唆するものでもありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。
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