新NISAでも配当に20.315%課税される盲点——「受取方式」を今すぐ確認する初心者ガイド【2026年版】
「NISAは非課税」は半分正解。日本株・国内ETFの配当を非課税にするには受取方式を『株式数比例配分方式』にする必要があります。別方式だとNISA口座の配当も20.315%課税(10万円で約2万円)。対象の見分け方と変更手順を初心者向けに解説。
「NISAだから非課税」——半分正解で、半分は設定次第です
私がこの記事を書こうと思ったのは、Xで「新NISAで20%課税されてる人が急増」という投稿が 何度も流れてきたからです。最初は「非課税のNISAでなぜ?」と思いました。 調べてみると、これは制度のバグでも証券会社のミスでもなく、 口座の初期設定を一度も確認していない人が引っかかる、地味だけど深刻な落とし穴でした。
結論から言います。日本株や国内ETFの配当金をNISAで非課税で受け取るには、 「配当金の受取方式」を『株式数比例配分方式』にしておく必要があります。 それ以外の方式になっていると、NISA口座で買った株の配当でも、課税口座と同じ20.315%が引かれます。
投資初心者でも今日中に確認・変更できるように、順を追って解説します。
①なぜ「受取方式」が課税の分かれ目になるのか
NISAの非課税は「NISA口座の中で完結した取引」に対して働きます。 配当金も、NISA口座(証券口座)の中で受け取って初めて「NISAの利益」として非課税になります。
ところが、受取方式が「登録配当金受領口座方式」などになっていると、配当金は 証券口座を経由せず、いきなり銀行口座に振り込まれます。 このとき配当は「NISAの外に出たお金」として扱われ、 源泉徴収で20.315%が差し引かれた後の金額が振り込まれます。
つまり、非課税枠の中に株を置いていても、 配当の「出口」が口座の外に向いていると、非課税の恩恵が受けられないのです。 これは制度上そうなっているだけで、誰も悪くありません。 ただ、初期設定が非課税に不利な方式のままになっている人が多い——それがXで話題になっている実態です。
この仕組みは、日本証券業協会の 「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」 でも明記されています。「NISAで配当を非課税にするには株式数比例配分方式が必要」というのは、 個人の解釈ではなく制度上のルールです。
②具体的にいくら変わるのか——10万円の配当で試算する
抽象的な話だとピンと来ないので、数字で見ます。 仮に、NISAの成長投資枠で高配当株を持っていて、年間の配当が10万円だとします。
- 株式数比例配分方式(正しい設定):10万円がまるごと非課税 → 手取り100,000円
- それ以外の方式:20.315%課税 → 手取り約79,685円
その差は約20,315円。設定を一度変えるだけで、毎年この差が積み上がります。 配当が年30万円なら差は約6万円、年50万円なら約10万円です。 「非課税のはずが課税されていた」と後で気づくほど悔しいものはありません。
私自身、投資を始めた頃はこの設定の存在すら知りませんでした。 幸い投信の積立が中心だったので実害はありませんでしたが、 もし当時から高配当株を買っていたら、確実にこの罠を踏んでいたと思います。
③自分が対象かどうか——3つの条件で切り分ける
ここは大事です。全員が該当するわけではありません。慌てる前に、自分が対象か確認しましょう。
条件1:NISAで「個別株・国内ETF・REIT」を持っているか
課税の対象になるのは、国内上場株式の配当金と、 国内ETF・REITの分配金です。 これらをNISA(特に成長投資枠)で持っている人は、受取方式の確認が必須です。
条件2:投資信託(オルカン・S&P500など)だけなら、基本は影響なし
投資信託の分配金は、この受取方式の設定とは別の仕組みで動きます。 国税庁も、NISA口座で保有する公募株式投資信託の収益の分配については、 非課税の適用を受けるために株式数比例配分方式のような手続きは必要ないとしています。 つみたて投資枠で投信を積み立てているだけの人は、基本的にこの罠には引っかかりません (オルカンとS&P500の選び方はこちらの比較記事で詳しく解説しています)。
ここで、混同されやすい2つの仕組みを整理しておきます。同じ「再投資」でも中身が違います。
- そもそも分配金を出さないタイプ:「eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)」は 「信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する」という分配方針で、 設定来の分配金実績は累計0円です(2026年7月末時点の月次レポート)。 分配金が出ないので、受け取り方を選ぶ場面自体がありません
- 分配金再投資コース(自動継続投資コース):決算のたびに分配金がいったん支払われ、 その金額で同じファンドを自動的に買い付ける仕組みです。資産運用業協会(旧・投資信託協会)は 「分配金から税金を差し引いた相当分で、同じ投資信託の追加購入を行います」と説明しています
なお、ここで差し引かれる税金がかかるのは普通分配金だけです。 元本払戻金(特別分配金)は非課税ですし、NISA口座で保有していれば分配金そのものが非課税になります。
ただし、「今はオルカン積立だけだけど、将来的に高配当株やETFも買ってみたい」という人は、 買う前に設定を直しておくのが安全です。
条件3:米国株の配当は、この設定に関係なく現地課税される
米国株(VYM、個別の米国高配当株など)の配当には、 受取方式に関係なく米国内で源泉徴収(日米租税条約により通常10%)がかかります。 NISA口座なら日本側の20.315%は非課税になりますが、米国側の10%は残ります (NISAは外国税額控除が使えないため、この10%は取り戻せません)。 これは「受取方式の設定ミス」とは別の話なので、混同しないようにしてください。
④今すぐ確認・変更する手順(証券口座アプリ)
手順は証券会社によって画面名が少し違いますが、探す場所はだいたい同じです。
- SBI証券:ログイン後「My設定」→「お取引関連・口座情報」→「配当金受領サービス」から選択
- 楽天証券:ログイン後「マイメニュー」→「お客様情報の設定・変更」→「申込が必要なお取引(信用、先物・オプション、FXなど)」→ 国内株式「配当金受取方法」
- マネックス証券:ログイン後「MY PAGE」→「保有残高・口座管理」→「お客様情報 確認・変更」→「登録情報照会」の配当金等振込情報から「変更」(「株式配当金等受取方法変更・履歴」からも手続き可)
ここが一番の落とし穴です。「権利確定日の直前に変えれば間に合う」とは限りません。 制度上の要件は「権利確定日(配当基準日)までに、ほふり(証券保管振替機構)への登録が完了していること」で、 登録が完了するまでに何営業日かかるかは証券会社ごとに違います。 証券保管振替機構自身も「申込手続に要する日数は、証券会社等によって異なる」と案内しています。
実際、各社が公式に示している締切にはこれだけ幅があります(2026年8月時点)。
- みずほ証券:ネット手続きは権利確定日を含む3営業日前の18:00まで(コールセンターは4営業日前まで)
- 楽天証券:決算日を含めず2営業日前の15:30まで(ほふりでの更新完了までは通常3〜4営業日)
- マネックス証券:権利確定日の前々営業日の20:00まで
- SBI証券:具体的な日数は示さず「登録完了までに数日間かかるので余裕をもって」と案内(別ページでは「1週間程度で完了」)
つまり、証券会社によっては「前営業日」ではもう間に合いません。 みずほ証券のように権利確定日を含む3営業日前が締切の会社もあれば、 SBI証券のように登録完了まで1週間程度をみておくよう案内している会社もあります。 安全側に倒すなら、次の権利確定日の少なくとも1〜2週間前には手続きを終えてください。 迷うくらいなら、思い立った今日のうちに変えてしまうのが確実です。
なお、この設定は本人名義の全証券口座に一律で適用されます。 複数の証券会社を使っていても、どこか1社で「株式数比例配分方式」に変えれば、 他社の口座にも同じ方式が反映されます(バラバラの方式にはできません)。
ただし、ひとつ例外があります。2009年の株券電子化のときに、証券会社ではなく 信託銀行の「特別口座」に記録された株式を持っている場合、 株式数比例配分方式そのものを選べません。 証券保管振替機構は、特別口座を開設する信託銀行は配当金を代理受領する契約を株主と結ばないため 同方式を利用できない、と説明しています。この場合はまず信託銀行に残高の振替を依頼して特別口座を閉鎖し、 そのうえで証券会社で申し込む必要があります。 「変更したはずなのに反映されない」という人は、まずここを疑ってみてください。
⑤「非課税を最大化する」という発想を、設定レベルで持つ
この受取方式の話が示しているのは、 NISAは「口座を作って買えば終わり」ではなく、初期設定まで含めて初めて非課税が完成するという事実です。
同じように、見落とされがちな初期設定は他にもあります。たとえば——
- つみたて設定が「毎月」になっているか(一度だけの買付で止まっていないか。ドルコスト平均法の基本はこちら)
- 分配金が「再投資」になっているか「受取」になっているか(複利を効かせたいなら再投資)
- クレカ積立のポイント還元設定を使い切れているか
派手さはありませんが、こういう設定の一つひとつが、10年20年の積立では 無視できない差になります。私は「銘柄選びに悩む時間の1割でいいから、 口座の設定確認に回したほうがリターンへの効き目は確実だ」と考えています。
今すぐ確認すべき4つのアクション
まとめ:非課税は「設定」で完成する
最後に整理します。
- NISAの配当の非課税は自動ではなく、受取方式が『株式数比例配分方式』であることが条件
- 別方式だと、NISA口座の国内株・ETF・REITの配当にも20.315%課税(10万円なら約2万円)
- 投信(オルカン等)の積立だけなら基本は影響なし。個別株・国内ETF保有者は要確認
- 米国株の現地10%課税はこの設定とは別の話
- 設定はほふりで全証券口座に一律適用。1社で変えれば他社にも反映される
「NISAだから安心」で止まらず、 非課税をちゃんと受け取れる設定になっているかまで確認する。 それだけで、毎年数千〜数万円の差が変わります。今日、口座アプリを開いて受取方式を見るところから始めてください。
関連書籍(もっと学びたい方へ)
新NISAはこの9本から選びなさい
中野晴啓
2024年に始まった新NISAの制度と、投資信託の選び方を初心者向けに整理した1冊。本記事で扱った配当金の受取方式は個別株・国内ETF向けの論点なので本書の範囲外ですが、『制度を理解して設定まで使い切る』という土台づくりに向いています。
通勤中に投資本を「聴く」という選択肢
Amazonが運営するオーディオブックサービスAudibleは30日間無料体験可能。紹介した投資本の多くがラインナップにあり、通勤・家事・運動中のスキマ時間にインプットできます。体験期間中に解約すれば料金は発生しません。
免責事項
※本記事の制度説明は、国税庁「タックスアンサーNo.1535 NISA制度」、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」、
日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」、証券保管振替機構「配当金の受取方法に関するQ&A」、
資産運用業協会(旧・投資信託協会)の公開資料にもとづいています。各証券会社の締切・メニュー名は
SBI証券・楽天証券・マネックス証券・みずほ証券の公式FAQ(2026年8月時点)を参照しました。
制度・画面名称・締切は変更される場合があります。実際の設定変更・税務の取り扱いは、
ご利用の証券会社の最新の案内および国税庁・金融庁の一次情報をご自身でご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。
書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。