2026年NISA改正で何が変わる?子どもNISA解禁・つみたて枠拡大と、見送られた『売却枠即時復活』
2026年度NISA改正で確定したのは『子どもNISA解禁(2027年1月〜)』と『つみたて枠の対象商品拡大』の2つ。話題の『売却枠の当年復活』は見送られ、非課税枠の復活は翌年以降・簿価ベースのままです。
2026年度NISA改正の全体像 — 確定した変更と、実現しなかった変更
2024年に「新NISA」が始まってから2年。利用者数は急増し、投資初心者を中心に制度の使い勝手に関するフィードバックが積み重なってきました。2025年12月19日に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」では、こうした声を受けた変更点が盛り込まれています。
ただし注意が必要なのは、SNSや一部のメディアで話題になった「売却した非課税枠がその年のうちに復活する」という変更は、金融庁の要望段階にとどまり、実際の改正には盛り込まれませんでした。確定した変更点2つと、この「見送られた変更」を正しく整理します。
「売却枠が当年中に復活」は誤解 — 2026年度改正には盛り込まれず
現行ルール: 売却した枠が使えるのは翌年以降・簿価ベース
NISA制度では、保有している投資信託やETFを売却すると、その簿価(取得価額)分の非課税保有限度額(1,800万円の枠)が翌年以降に再利用できるようになります。値上がり益の分は復活しません。このルールは新NISAが始まった2024年から変わっておらず、2026年度改正でも変更はありません。
「当年中に復活する」という話はどこから来たのか
「売却した非課税枠が、その年のうちに復活するようになる」という話がSNSや一部メディアで広まりましたが、これは金融庁が令和8年度税制改正要望として提出した内容です。実際に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」(2025年12月19日公表)には、この変更は盛り込まれませんでした。つまり非課税枠の復活ルールに変更はなく、これまでどおり翌年以降・簿価ベースのままです。
年の途中で「この銘柄を別の銘柄に入れ替えたい」と思っても、売却した分の枠はその年のうちには使えません。この点を勘違いしたまま年内の売却・再投資を計画すると、非課税枠を想定どおりに使えず「売ったのに買えない」という事態になるので注意してください。
年間投資枠は売却しても復活しない(こちらは以前から変わらないルール)
非課税保有限度額(1,800万円)とは別に、年間投資枠(つみたて120万円 + 成長240万円 = 合計360万円)という上限もあります。この年間投資枠は売却の有無にかかわらず、その年のうちに追加で使えるようにはならず、翌年に改めてリセットされるだけです。「非課税保有限度額の復活」と「年間投資枠」は別物なので、混同しないようにしましょう。
確定した変更1: 子どもNISA解禁 — 2027年1月から
現行ルール: NISA口座は18歳以上のみ
現在のNISA制度は18歳以上が対象です。2023年末に旧ジュニアNISAが廃止されて以降、未成年者が非課税で投資する制度はなくなっていました。「子どもの将来のために非課税で積み立てたい」という声は多くあったものの、受け皿がない状態が続いていたのです。
新ルール: 0歳〜17歳向けの新しいつみたて投資枠が新設
令和8年度税制改正大綱で、NISA口座の開設年齢の下限が撤廃され、0歳〜17歳を対象とした新しいつみたて投資枠が2027年1月から新設されることが決まりました。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。これは18歳以上の成人が使う「つみたて投資枠(年120万円・生涯600万円)」とは別枠で、金額も異なる点に注意してください。
事実上の「子どもNISA」の解禁です。18歳に達すると、自動的に通常のNISA制度(つみたて投資枠・成長投資枠)に移行する見込みです。
家族全体での非課税枠の考え方
子どもNISAの解禁で、家族全体の非課税投資枠が拡大します。具体的に計算してみましょう。
- 夫婦2人: 1,800万円 × 2 = 3,600万円
- 子ども1人追加: 子ども向けつみたて投資枠の上限600万円が加わり合計4,200万円の非課税枠
- 子ども2人の4人家族: 3,600万円 + 600万円 × 2人 = 合計4,800万円の非課税投資が可能に
もちろん、子どもの枠は親が管理するため、実際にどれだけ活用できるかは家計の余裕次第です。しかし「教育資金を非課税で運用する」という選択肢が増えること自体は、長期投資を実践する家庭にとって大きなメリットです。
注意点: 詳細は今後の告示等で確認を
子どもNISA口座の具体的な開設手続きや対象商品の範囲など、実務的な詳細は今後、金融庁や証券会社から順次案内される見込みです。制度の最新情報は金融庁の公式サイトで確認してください。
確定した変更2: つみたて投資枠の対象商品拡大 — 公社債中心ファンドも選べるように
現行ルール: つみたて枠は株式比率50%超のファンドが中心
現在のつみたて投資枠は、金融庁が定める基準を満たした投資信託・ETFのみが対象です。この基準では株式の組み入れ比率が50%超であることが必要で、公社債中心のファンドは対象外でした。初心者が「もう少しリスクを抑えたい」と思っても、つみたて枠では株式中心のファンドしか選べない状況だったのです。
新ルール: 株式比率の要件が緩和され、公社債中心のファンドも対象に
令和8年度税制改正大綱で、つみたて投資枠の対象商品の要件が見直されます。これまでは「株式の組み入れ比率が50%超」であることが条件でしたが、改正後は株式と公社債を合わせて50%超を占める投資信託であれば対象になります。これにより、公社債中心のファンドやバランス型ファンドも新たにつみたて投資枠で選べるようになる見込みです。具体的にどの商品が対象になるかは今後の告示で確定します。
初心者にとって何が嬉しいのか
公社債中心のファンドが対象に加わることのメリットは、つみたて枠だけでバランスの取れたポートフォリオを組みやすくなることです。
たとえば「株式70% + 債券30%」のポートフォリオを組みたい場合、これまでは——
- つみたて枠: オルカン(株式100%)を積立
- 成長投資枠: 先進国債券ファンドを購入 → 成長投資枠を債券に使ってしまう
改正後は——
- つみたて枠: オルカン70% + 先進国債券ファンド30% → つみたて枠だけで完結
- 成長投資枠: 個別株やETFに自由に使える
成長投資枠を「債券のために消費する」必要がなくなるので、投資の自由度が上がります。特に「成長投資枠では高配当ETFや個別株を買いたい」と考えている人には朗報です。
「公社債中心のファンド」は安全とは限らない
「債券ファンドなら安全」と思いがちですが、それは正確ではありません。債券ファンドにも金利リスクがあり、金利が上昇すると債券価格は下落します。2022年のアメリカの急速な利上げ局面では、債券インデックスファンドも-10%以上下落しました。
公社債中心のファンドは「リスクゼロ」ではなく、「株式ファンドに比べて値動きがマイルド」という位置づけです。暴落時のクッション役にはなりますが、元本保証ではないことは覚えておきましょう。
2つの改正が組み合わさると何が起きる?
子どもNISA解禁とつみたて投資枠の対象商品拡大、2つの変更を組み合わせて考えると投資戦略の幅が広がります。
パターン1: 家族全体で長期運用
子どもNISA解禁とつみたて枠の対象商品拡大の組み合わせ。子どもの口座では「株式と公社債を組み合わせたファンドで堅実に積み立て」、親の口座では「成長投資枠でより積極的な投資」という役割分担が可能に。家族全体でリスクとリターンのバランスを取りやすくなります。
パターン2: 初心者の段階的ステップアップ
投資を始めたばかりの人は、まずつみたて枠で「オルカン + 公社債中心ファンド」のシンプルな分散ポートフォリオからスタート。慣れてきたら成長投資枠で個別株やテーマ型ETFに挑戦するというステップアップがしやすくなります。なお、非課税枠の復活は翌年以降・簿価ベースなので、「合わなかったら売って、翌年に別の商品へ入れ替える」というペースで考えておきましょう。
改正を受けて、今やるべきこと
ステップ1: 自分のNISA利用状況を確認する
まずは現在の非課税保有限度額の消費状況を確認しましょう。証券会社のマイページで「非課税保有限度額の残り」が確認できます。1,800万円のうちどれくらい使っているか把握しておくことが、改正後の戦略を考える第一歩です。
ステップ2: ポートフォリオの現状を数値でチェック
PFWiseに保有銘柄を取り込むと、現在の資産配分と目標との乖離が一目でわかります。改正後のリバランスを検討するためにも、「今どれくらいズレているか」を定量的に把握しておくことが重要です。
ステップ3: 年間投資計画を見直す
非課税枠の復活は翌年以降・簿価ベースであることを踏まえ、頻繁な売買は避けましょう。制度が変わっても「長期・分散・積立」の原則は同じです。リバランスは売却を伴わない「ノーセル・リバランス」を基本にしつつ、年1回程度のペースで計画的に見直すのがおすすめです。
よくある質問
Q1. 売却した非課税枠は結局いつ復活する?
2026年度改正の前後を通じて変わらず、売却した商品の簿価(取得価額)分が、翌年以降に復活します。値上がり益の分は復活しません。「当年中に復活する」という情報を見かけた場合は、金融庁の要望段階の話が独り歩きしたもので、令和8年度税制改正大綱には反映されていない点に注意してください。
Q2. 子どもNISA口座は何歳から開設できる?
令和8年度税制改正大綱では、口座開設年齢の下限を撤廃し、0歳〜17歳を対象に新たなつみたて投資枠(年間60万円・非課税保有限度額600万円)を設けることが示されています。18歳になると自動的に通常のNISA制度(つみたて投資枠・成長投資枠)に移行する見込みです。口座管理は保護者が行うため、具体的な手続きは証券会社ごとの案内を確認してください。
Q3. 債券ファンドを入れると、リターンは下がる?
一般的に、債券を組み入れるとリターンは株式100%より低くなります。しかし、その分だけ値動きのブレ幅(リスク)も小さくなります。たとえば株式100%で年間リターン±20%の振れ幅があるポートフォリオが、株式70%+債券30%にすると±14%程度に縮まるイメージです。リターンを取るかリスクを抑えるかは、自分のリスク許容度に合わせて判断してください。
Q4. 現行の新NISAで積み立てている分はどうなる?
現行の新NISAで購入済みの商品はそのまま継続保有できます。今回確定した変更は「対象年齢の拡大(子どもNISA)」と「つみたて投資枠の対象商品追加」であり、すでに保有している商品や非課税枠の復活ルールに影響はありません。安心して積み立てを続けてください。
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