日経平均は朝の+1,300円を終値までに7割戻した——S&P500は終値で史上最高値。同じ米指標で動いた日米を分けた「日本固有の事情」【2026年8月14日】
投資初心者向け。2026年8月14日、日経平均は朝に一時69,608円まで買われ終値68,713.80円(+0.59%)。S&P500は8月13日終値7,798.99で史上最高値。日米を分けた日本固有の事情とオルカンへの影響額を解説。
日経平均は朝の+1,300円を、終値までにおよそ7割戻した
投資初心者でも分かるように解説します。
(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)
2026年8月14日の東京株式市場。日経平均株価(日経225。代表的な225銘柄の株価を単純平均する指数)は、午前9時39分に一時69,608.24円をつけました。前日13日の終値68,308.59円から+1,299.65円、率にして+1.9%です。
ところが大引けの終値は68,713.80円。前日比+405.21円、+0.59%でした。朝についた上げ幅1,299.65円のうち894.44円、割合にしておよそ7割を戻した計算になります。4営業日続伸ではありますが、朝の勢いは終値に残りませんでした。TOPIX(東証株価指数。東証プライム上場銘柄を時価総額で加重平均する指数)は終値4,197.20(+0.51%)です。
その前夜の米国市場では、S&P500が8月13日の終値7,798.99をつけ、終値ベースの史上最高値を更新しました。取引時間中には初めて7,800を上回る7,816.70まで買われましたが、終値は7,800に1.01ポイント届いていません。「7,800を超えて引けた」ではなく「終値ベースで史上最高値を更新した」が、この日の正確な事実です。
日米そろって買われた朝と、日本だけが伸び悩んだ終値。ここには2層の材料があります。まず共通の層から見ていきます。
共通の材料は8月13日のPPIと新規失業保険申請件数。CPIは前日8月12日の発表
日米を同じ方向に押した材料は、米国の物価と雇用の統計です。ただし、どの統計がいつ発表されたのかを分けておく必要があります。ニュースでは「インフレ鈍化」とひとまとめにされがちですが、日付が違えば相場を動かしたタイミングも変わります。
- 8月12日発表: 7月分のCPI(消費者物価指数)。前年同月比+3.4%で、6月の+3.5%から鈍化。市場予想どおりの着地
- 8月13日発表: 7月分のPPI(生産者物価指数)。前月比0.0%の横ばいで、市場予想の+0.2%を下回った。前年同月比は+4.7%で、6月の+5.5%から0.8ポイント鈍化
- 8月13日発表: 8月8日までの週の新規失業保険申請件数。209,000件で、前週から9,000件の増加。市場予想の202,000件を上回った
CPIは市場予想どおりの着地でしたが、それでも9月FOMCで利上げに動くとの市場の織り込みは低下しました(CME FedWatchの試算で、据え置き予想が発表前の52%から発表後64%へ上昇。利上げ予想はおおむね36〜42%程度まで低下したとみられます〈算出元により幅あり〉。8月12日の記事で扱った時点の水準からの変化です)。市場予想どおりの結果でも、織り込みが動くことはあります。13日から14日にかけての値動きの直接のきっかけになったのは、翌13日に出たPPIと新規失業保険申請件数のほうです。
ここで、失業保険の数字には注意が必要です。今回の209,000件は週次の新規申請件数で、前週から9,000件増えました。一方、週ごとの振れをならした4週移動平均は199,000件で、前週から横ばいです。「増えた」のは週次、「横ばい」は4週平均で、そもそも別の系列の数字です。ニュースの見出しがどちらを指しているのかを確かめてから受け止めると、印象が変わることがあります。
物価の伸びが鈍り、雇用にもわずかな緩みのサインが出る。この2つがそろったことで、複数の市場予想ツールでFRBの9月利上げ観測が後退したとみられています(算出元によって具体的な確率の数値には差があるため、本記事では複数ソースの数値を併記しています)。
なぜ半導体株が真っ先に反応するのか。ただし東京エレクトロンは下げている
利上げ観測の後退が株価を押し上げやすいのは、企業の将来利益を今の価値に直すときの割引率が下がるからだとされています。同じ将来利益でも、割引率が低いほど現在価値は大きく計算されます。この効果は、利益の大部分が数年先に見込まれる企業ほど大きく効くとされ、半導体関連株はまさにそこに当てはまります。逆に物価の伸びが加速して利上げ観測が強まれば、割引率は上がる方向に働き、将来の利益への期待が大きい銘柄ほど株価は重くなりやすいとされます。
米国側の半導体株も同じ方向に動いていました。米フィラデルフィア半導体指数(SOX、半導体関連企業の株価をまとめた指数)は、8月13日の米国市場で+0.46%(12,456.00)で終えています。派手な上昇ではありませんが、方向はそろっていました。
では8月14日の東京市場はどうだったか。日本経済新聞の「東証大引け」など各社の大引け記事によると、指数を押し上げたのは半導体関連株です。ただし「軒並み買われた」わけではありません。終値ベースで並べると、次のようになります。
- キオクシアホールディングス: 53,740円(前日比+1,940円/+3.74%)
- ソフトバンクグループ: 5,739円(前日比+164円/+2.94%)
- アドバンテスト: 36,870円(前日比+930円/+2.59%)
- 東京エレクトロン: 59,130円(前日比-340円/-0.57%)
東京エレクトロンは下げています。同じ「半導体関連」でも、この日は高安が分かれました。私はこの日、日経平均が朝に+1.9%まで上げたという数字だけを見て、半導体はどれも上がったのだろうと思い込みかけました。個別の終値を並べて、ようやく東京エレクトロンの下落に気づいた次第です。指数の上昇率は、中身が一様であることを意味しません。
日経平均は225銘柄の株価を単純平均する指数なので、値がさ株(1株あたりの株価が高い銘柄)の値動きが指数全体に強く効きます。この日、指数を押し上げたのは値がさの半導体関連株が金利観測という材料に大きく反応した結果でした。
終値で日米が分かれた理由は、日本固有の2つの事情にある
ここまでの出来事を、時間の順に並べ直します。
- 8月13日夜(日本時間): 米PPIと週次の新規失業保険申請件数が発表され、米国の利上げ観測が後退
- 8月13日の米国市場: S&P500が終値7,798.99で、終値ベースの史上最高値を更新
- 8月14日朝の東京: 日経平均が一時69,608.24円(+1,299.65円/+1.9%)まで上昇
- 8月14日の大引け: 日経平均は68,713.80円(+405.21円/+0.59%)。朝の上げ幅のおよそ7割を戻した
米国の材料は、S&P500を終値まで押し上げました。日本でも同じ材料が朝の買いを呼び込みました。ここまでは共通です。分かれたのは、そのあとです。
日本には、米国とは向きが逆の金利の材料があります。日銀の利上げ観測です。9月の金融政策決定会合での利上げを見込む市場の織り込みは、7月29日時点の30%弱から8月12日にはOIS市場で約8割まで上がっていました。さらに8月13日には、高市政権が日銀の早期利上げを支持しているとブルームバーグが報じています(この経緯は前日の記事で詳しく書きました)。
米国の金利観測は下向き、日本の金利観測は上向き。同じ「金利」でも向きが逆です。米国の利上げ観測の後退は日本株にも追い風になりますが、日本国内の利上げ観測は円高・国内金利上昇を通じて逆風として意識されやすい材料です。
そして8月14日は金曜日でした。大引けにかけて上げ幅を縮めた直接の理由として各社の報道が挙げているのは、週末を控えた持ち高調整です。週末をまたいで持ち高を抱えたくない参加者が、利益の乗った銘柄を手じまう動きを指します。
正直に書くと、朝の高値から終値までの約894円のうち、どこまでが日銀の利上げ観測でどこからが持ち高調整なのかを、私は切り分けられません。報道が理由として挙げているのは持ち高調整のほうです。それでも、日本株には米国の材料だけでは説明のつかない自国の材料がある、という構図は変わりません。
相場の見出しは、たいてい日米共通の材料でつくられます。でも終値を決めるのは、その国の事情です。
「日本株も米国株も同じニュースで動くのだから、どちらを持っていても似たようなもの」という受け止め方は、この日の朝までは合っていて、終値では合っていませんでした。「日本株が強いから安心」「米国株も強いから安心」も同じです。両方を持っていることが分散として効く場面と、効かない場面があります。今回は、朝は同じ材料で動き、終値では別の材料が効いた日でした。
あなたのオルカン・S&P500への影響は? 100万円で試算する
金額で確認します。まずS&P500です。8月11日終値7,728.20から8月13日終値7,798.99まで、2営業日で70.79ポイント、率にして+0.92%の上昇です((7,798.99−7,728.20)÷7,728.20)。100万円分のS&P500(米ドル建て資産)を持っていたと仮定すると、この2営業日で+約9,160円の計算になります。為替(円換算)の影響は含めていません(為替の影響は別の記事で扱いました)。
次にオルカンです。オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))の国・地域別の構成比は、直近の公表資料では米国がおよそ63.1%、日本がおよそ5%です(いずれも2026年7月31日時点)。100万円分を持っているとして、この2つに分けて計算します。
- 日本株部分(約5万円): TOPIXは8月12日終値4,139.00から8月14日終値4,197.20へ、2営業日で+58.20pt上げました。率にして+1.41%です((4,197.20−4,139.00)÷4,139.00)。5万円に+1.41%を掛けると+約700円
- 米国株部分(約63.1万円): この部分がS&P500と同じ値動きをしたと仮定して+0.92%を掛けると+約5,800円
ここが読み違えやすいところです。「オルカンは日本株が5%しかないから、日経平均が上がってもほとんど動かない」は半分だけ正しくて、実際にこの2営業日でオルカンの評価額を動かした主役は米国株部分でした。金額でいえば、日本株部分のおよそ8倍です。日経平均の見出しに反応しながら、評価額を押し上げていたのは太平洋の向こう側だった、ということが起こります。
なお、S&P500の直近の終値は8月13日、日本の直近の終値は8月14日です。時差の関係で、それぞれの直近2営業日を比べているため、集計期間が1日ずれています。オルカン全体の正確な2営業日リターンを知りたいときは、基準価額を見るのが確実です。ここでの試算は「日本株部分と米国株部分のどちらが金額を動かしたか」の桁をつかむための概算として扱ってください。
積立で考えると、もっと身近になります。毎月3万円をオルカンに積み立てているなら、1回の買い付け3万円のうち日本株になるのは約1,500円、米国株になるのは約1万8,900円です。日経平均のニュースが直接効くのは、前者の1,500円分だけです。自分の積立額に置き換えると、日々の見出しとの距離感がつかみやすくなります。
以前、半導体レバレッジ型ETF(SOXL)を取り上げた記事でも書きました。値動きの大きい銘柄・セクターほど、値動きそのものに気を取られる前に、器(課税口座か非課税口座か)と枠(資産の何%までか)を先に決めておくと迷いが減ります。日米が同じ材料で動いた日でも、終値で分かれた日でも、考え方は変わりません。
今すぐできる3つのアクション
まとめ:朝は日米共通の材料、終値は自国の事情
- 日経平均は2026年8月14日、朝に一時69,608.24円(+1,299.65円/+1.9%)まで買われたが、終値は68,713.80円(+405.21円/+0.59%)で4営業日続伸。朝の上げ幅のおよそ7割を大引けまでに戻した。TOPIXは終値4,197.20(+0.51%)
- S&P500は8月13日終値7,798.99で終値ベースの史上最高値を更新。取引時間中は7,816.70をつけたが終値は7,800に届かず、8月11日終値7,728.20から2営業日で+0.92%
- 日米共通の材料は8月13日発表の米PPI(7月分)。前月比0.0%の横ばいで、前年同月比は+4.7%と6月の+5.5%から鈍化した
- 同じ8月13日に出た新規失業保険申請件数(8月8日までの週)は209,000件で、4週移動平均は199,000件と横ばい。CPI(7月分・前年比+3.4%)は前日8月12日の発表で、市場予想どおりだった
- 東京市場を主導したのは半導体関連株だが一様ではない。終値でキオクシアホールディングス+3.74%・ソフトバンクグループ+2.94%・アドバンテスト+2.59%に対し、東京エレクトロンは-0.57%
- 終値で日米が分かれた背景には日本固有の材料がある。日銀の9月利上げ観測(8月12日時点でOIS市場の織り込みは約8割)と、週末を控えた持ち高調整だ
- 100万円分のオルカンなら、この2営業日で日本株部分は+約700円、米国株部分は+約5,800円の計算。日経平均の見出しに反応しても、評価額を動かしていたのは主に米国株部分だった
日経平均とS&P500が同じ週に大きく動くと、それぞれに別の理由があるようにも、同じ1つの理由で動いたようにも見えます。今回はそのどちらでもありませんでした。朝を動かしたのは米国の金利観測という共通の材料で、終値を決めたのは日銀の利上げ観測と週末の持ち高調整という日本固有の材料です。共通の層と固有の層を分けて見ると、日本株と米国株を両方持つことが分散として効く場面と効かない場面の区別がつきやすくなります。
PFWiseのポートフォリオ診断では、保有資産の国別・セクター別の構成比を確認できます。日米が同じ日に動いた日ほど、自分のオルカン・S&P500がどの国の材料にどれだけ反応する構成になっているかを、数字で押さえておく意味があると感じています。
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免責事項
※本記事で触れた日経平均株価(2026年8月13日終値68,308.59円・前日比+784.53円/+1.16%、8月14日終値68,713.80円・前日比+405.21円/+0.59%、8月14日午前9時39分の高値69,608.24円)、TOPIX(8月14日終値4,197.20・+0.51%、8月12日終値4,139.00)は、日本経済新聞「東証大引け」をはじめとする各社の大引け報道にもとづく情報です。
※半導体関連株の値動き(8月14日終値ベースでキオクシアホールディングス53,740円/+1,940円/+3.74%、ソフトバンクグループ5,739円/+164円/+2.94%、アドバンテスト36,870円/+930円/+2.59%、東京エレクトロン59,130円/-340円/-0.57%)、および米フィラデルフィア半導体指数(SOX)の8月13日米国市場での+0.46%(12,456.00)は、いずれも報道および指数のクォートにもとづく情報です。
※米国のS&P500(2026年8月13日終値7,798.99で終値ベースの史上最高値、取引時間中の高値7,816.70、8月11日終値7,728.20)は、2026年8月時点の報道にもとづく市場データです。終値7,798.99は7,800を下回るため、本記事では終値が7,800を上回ったとする表現は用いていません。
※米国の2026年7月分生産者物価指数(PPI、前月比0.0%・市場予想+0.2%、前年同月比+4.7%・6月+5.5%)、同7月分消費者物価指数(CPI、前年同月比+3.4%・6月+3.5%、日本時間8月12日発表・市場予想どおり)、新規失業保険申請件数(8月8日までの週で209,000件・前週比+9,000件・市場予想202,000件、4週移動平均199,000件)は、米労働省労働統計局(BLS)および米労働省の発表とそれにもとづく報道による情報です。週次の新規申請件数と4週移動平均は別の系列であり、本記事では区別して表記しています。
※9月FOMCでの利上げ確率(市場の織り込み)は、CPI発表(2026年8月12日)からPPI・新規失業保険申請件数発表(8月13日)にかけて段階的に低下したとみられます(CME FedWatchベースで発表前52%→発表後64%への据え置き予想上昇、Reutersベースで8月12日40.6%→8月13日32.4%等)。算出元・時点によって具体的な数値の水準は異なるため、本記事では特定のパーセンテージを断定的には示していません。市場予想は日々変動し、実際の結果は本記事の記述と異なる可能性があります。
※日銀の9月会合での利上げに関する市場の織り込み(7月29日時点30%弱、8月12日時点でOIS市場約8割)、および高市政権が日銀の早期利上げを支持しているとの内容は、ブルームバーグ・日本経済新聞等の報道にもとづく情報であり、日本政府・日本銀行が公式に発表したものではありません。日銀の金融政策決定会合の日程(2026年9月17〜18日、10月29〜30日)は日本銀行の公表資料にもとづきます。
※8月14日の大引けにかけて日経平均が上げ幅を縮めた理由として本記事が挙げた「週末を控えた持ち高調整」は、各社の大引け報道による説明です。日銀の利上げ観測がどの程度寄与したかを含め、値動きの要因を定量的に特定したものではありません。
※「利上げ観測の後退が将来利益の現在価値を押し上げ、株価の支えになりやすい」「利益の多くが将来に見込まれる銘柄ほど割引率の影響を受けやすい」といった説明は、一般的に紹介される株式市場の考え方にもとづく概説であり、金融市場の反応を確定的に予測するものではありません。
※S&P500の情報技術セクター比率(およそ38%・2026年6月末時点)、その中の半導体・半導体製造装置比率(情報技術セクターの40〜50%程度)、オルカンの国・地域別構成比(米国およそ63.1%・日本およそ5%・いずれも2026年7月31日時点)は、いずれも概算であり、指数の構成銘柄・時価総額の変動によって変わります。
※記事内の金額試算(S&P500の2営業日価格リターン、オルカンの日本株部分・米国株部分の試算、毎月3万円の積立の内訳)は、記載した指数の変動率と構成比のみを反映した簡易な仮定計算です。為替変動・売買手数料・税金・信託報酬は考慮していません。またS&P500は8月11日から8月13日、TOPIXは8月12日から8月14日と集計期間が1営業日ずれており、オルカンの米国株部分がS&P500と同一の値動きをすると仮定しています。実際の損益・基準価額の変動とは異なります。
※過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。