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イラン停戦でS&P500が1日+2.5%急騰 — NISAの積立、売るべき?

トランプがイラン攻撃2週間停止→S&P500 +2.51%急騰。Liberation Day 1周年の暴落→+32%回復データ、FRB議長交代リスク、インフレ膠着。NISAで急騰時に売るべきでない3つの理由を解説。

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何が起きたか — イラン停戦とS&P500の1日+2.51%急騰

2026年4月8日、トランプ大統領はイランへの軍事攻撃を2週間停止すると発表しました。中東の緊張が一時的に和らいだことで市場は安心感に包まれ、S&P500は1日で+2.51%(6,782ポイント)の急騰を記録。ダウ平均も+1,325ポイント(+2.85%)と大幅に上昇しました。

この急騰の背景には、地政学リスクの後退だけでなく、JPMorganが景気後退(リセッション)の確率を35%から30%に引き下げたことも追い風になっています。「中東の戦争リスクが減った」+「景気後退の可能性も低下した」という二重の好材料が、投資家心理を一気に楽観に傾かせたわけです。

ただし注意したいのは、停戦は「2週間」という期限付きであること。恒久的な和平合意ではなく、あくまで一時的な停止です。市場は「リスクが消えた」のではなく「リスクが一時的に下がった」ことに反応しただけです。この違いを理解しておくことが、次のセクションでお話しする「売るべきか?」の判断に直結します。

NISAのオルカン・S&P500、急騰時に売るべき?

結論から言うと、売るべきではありません

S&P500が1日で+2.5%も動くと、「利益が出ているうちに確定した方がいいのでは?」と思いたくなる気持ちはよくわかります。でも、長期積立投資をしているNISA投資家にとって、この判断は逆効果になる可能性が高いです。理由は3つあります。

理由1: 最も上昇した日を逃すと長期リターンが激減する

過去20年間のS&P500データによると、もし「上昇率が大きかった日トップ10」を逃した場合、トータルリターンは約半分になるというJ.P. Morganの研究があります。つまり急騰日に「売ってしまっている」=「その上昇を享受できない」ことが、長期投資の成績を大きく毀損します。

今回の+2.51%はまさに「上昇率トップ10」級の1日。こういう日にポジションを持っていることが、長期の複利効果を最大化する鍵です。

理由2: NISA口座の非課税枠は売却で消費される

NISAで売却すると、その分の非課税投資枠は翌年の年初まで復活しません。短期的な利確のために枠を使ってしまうと、その年の残りの期間は追加投資のチャンスを失います。特に年度の前半(4月)で売却するのは、残り8ヶ月間の投資機会を捨てるのと同じです。

理由3: 停戦は一時的、市場はまた動く

2週間の停戦が延長されれば株価はさらに上がるかもしれませんし、交渉が決裂すれば下がるかもしれません。いずれにせよ、こうした短期的な地政学イベントで売買を繰り返すのは、「タイミング投資」であり、プロでも成功率が低い戦略です。NISAの積立投資は「時間を味方にする」戦略なので、その強みを自ら手放す必要はありません。

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Liberation Day 1周年の教訓 — 暴落→回復のリアルデータ

2025年4月2日、トランプ大統領が大規模な関税政策を発表した「Liberation Day(解放の日)」をきっかけに、S&P500は約-20%の急落を経験しました。当時は「米国株は終わった」「リセッション確実」といった悲観論が支配的でした。

あれから1年。結果はどうなったか? S&P500はその後+32%の回復を見せ、暴落前の水準を大きく上回っています。

100万円投資した場合の差

Liberation Dayの暴落直前に100万円をS&P500に投資していた場合を考えてみましょう。

  • パニック売りした人: 暴落で80万円(-20%)になった時点で売却 → その後の回復に乗れず80万円のまま
  • 持ち続けた人: 80万円まで下がったが売らずに保有 → 1年後には約106万円(+32%の回復で元本+6%)
  • 暴落中に買い増しした人: 80万円+追加10万円 = 90万円分を安値で保有 → 1年後には約119万円

パニック売りした人と持ち続けた人の差は約26万円。買い増しした人との差はさらに大きくなります。「暴落は買い場」という格言は、このデータが裏付けています。

暴落からの回復は歴史的に繰り返されている

S&P500の過去50年間のデータでは、10%以上の調整局面は平均して年に1回発生し、その回復期間は平均3〜4ヶ月です。20%以上の暴落(ベアマーケット)でも、過去のケースではすべて最終的に回復しています。

Liberation Dayの教訓は明確です。暴落で売った人が最も損をし、持ち続けた人が報われた。今回のイラン停戦による急騰も同じ文脈で考えるべきです。急騰に浮かれて利確するのではなく、長期の視点で淡々と持ち続けることが最善策です。

FRB議長交代リスク — Powell退任後の不確実性

市場のもう一つの注目ポイントは、FRB(米国の中央銀行)のPowell議長の任期が2026年5月15日に満了することです。残り約5週間で、米国の金融政策のトップが交代する可能性があります。

Powell議長の実績と現在の金融政策

現在のFRBの政策金利は3.50〜3.75%で、市場では年内1〜2回の利下げ(最終的に3.00〜3.25%へ)が見込まれています。Powell議長は2022年のインフレ急騰に対して急速な利上げで対応し、経済をハードランディングさせずにインフレを沈静化させたことで評価されています。

新議長による政策変更リスク

問題は、後任の議長がPowell路線を引き継ぐとは限らないことです。トランプ大統領はこれまでFRBに対して「金利を下げろ」と公然と圧力をかけてきました。もし「大統領の言うことを聞く」タイプの議長が就任した場合、以下のリスクが考えられます。

  • 過度な利下げ: インフレが3%付近で膠着(sticky inflation)している中で急激に利下げすると、インフレが再燃するリスク
  • 市場の信認低下: FRBの独立性が疑われると、長期金利が上昇し、住宅ローンや企業の借入コストが増加
  • ドル安・円高: FRBへの信認低下はドル売りを誘発し、日本のNISA投資家にとっては為替差損のリスク

NISA投資家はどう備えるべきか

FRB議長交代は5月中旬の話なので、今すぐ何かアクションを取る必要はありません。ただし、5月以降の金融政策の方向性には注意を払い、急激な政策変更があった場合のポートフォリオへの影響を事前にシミュレーションしておくことが賢明です。

特に為替リスクには注意が必要です。オルカンやS&P500の投資信託は基本的にドル建て資産なので、円高が進むと円換算の評価額は下がります。為替ヘッジなしのファンドを持っている場合は、自分のポートフォリオが為替変動にどれくらい影響を受けるかを把握しておきましょう。

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インフレ3%膠着 — 「粘着インフレ」が長期投資に与える影響

見落としがちですが、現在の米国のインフレ率は3%付近で膠着しています。FRBの目標である2%にはまだ距離があり、特に住居費やサービス価格が高止まりしている「粘着インフレ(sticky inflation)」の状態です。

これが意味するのは、FRBが利下げしたくても簡単にはできないということ。金利が高止まりする「Higher for Longer」のシナリオが続く可能性があります。

NISAの積立投資家への影響

インフレが3%で続くということは、現金の実質的な価値が毎年3%ずつ目減りしていくということです。銀行預金の金利が0.1%の日本では、インフレ率との差がそのまま「見えない損失」になります。逆に言えば、株式投資を続けることはインフレ対策としても合理的です。S&P500の長期平均リターンは年7〜10%で、3%のインフレを差し引いても実質リターンはプラスです。

「金利が高いから株は不利」という意見もありますが、それは短期トレーダーの視点。NISA投資家のように10年・20年のスパンで投資する場合、金利サイクルは複数回転するので、現在の金利水準だけで投資判断をするのは適切ではありません。

JPMorganリセッション確率35%→30%の意味

JPMorganが景気後退の確率を35%から30%に引き下げたことは、好材料として市場に受け止められました。しかし冷静に考えると、「30%」はまだかなり高い数字です。サイコロの目で「1」か「2」が出る確率が33%。つまり「3回に1回はリセッションが来る」という水準です。

リセッション確率が30%あるということは、ポートフォリオに一定の防御力(ディフェンシブ性)を持たせておく必要があることを意味します。具体的には以下の点をチェックしましょう。

  • セクター分散: テック1セクターに偏っていないか。ヘルスケア・公益・生活必需品などのディフェンシブセクターの比率は十分か
  • 債券比率: 株式100%ではなく、10〜30%の債券を混ぜることで暴落時のクッションになる
  • 生活防衛資金: 最低6ヶ月分の生活費は投資に回さず現金で確保しているか。リセッション時に投資資金を取り崩さなくて済むようにする

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