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インド株に外国人マネーが5カ月ぶり回帰。オルカンの「新興国」部分を初心者向けに解説【2026年8月】

投資初心者向け。外国人投資家がインド株を2026年7月に約3,300億円買い越し、5カ月ぶりに流入超過へ転換。オルカンは新興国も投資対象に含む「オール・カントリー」型ファンドです。検証可能な数値だけであなたのオルカンとの関係を確認します。

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「インドには投資していない」と思っていませんか

投資初心者でも分かるように解説します。

(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)

2026年7月、外国人投資家がインド株を約2,020億ルピー、日本円にして約3,300億円買い越しました(日本経済新聞調べ)。これは5カ月ぶりの流入超過です。年初からインド市場は逆風にさらされていました。米国・イスラエルによるイラン軍事行動を受けた原油高は、原油の多くを輸入に頼るインドにとって直接のコスト増要因になります。加えて、AIが業務ソフトウェアを代替するという懸念から、主力のITサービス株にも売りが続いていました。その流れが、企業業績の改善と複数の大型IPO(新規株式公開)への期待を背景に変わりつつあります。

「インドの株式市場でこんなことがあったのか」で終わらせてもいい話ですが、オルカン(eMAXIS Slim全世界株式など)を積み立てている方には、もう一歩踏み込んで考えてほしい理由があります。オルカンは「オール・カントリー」という名前の通り、投資対象を米国・日本・欧州だけに絞っていません。新興国も組み入れる設計になっており、インドもその投資対象国の一つです(オルカンとS&P500の違いはこちらの記事で詳しく比較しています)。

「資金回帰」の中身は、実は3分の2が発行市場への参加

今回の資金回帰を「良いニュース」として受け止める前に、その中身をもう少し丁寧に見ておきます。7月の買い越し額(約2,020億ルピー)の内訳は、新規上場株への応募などの発行市場が約1,347億ルピー、証券取引所での売買(流通市場)が約673億ルピーです(Business Standard調べ)。実に3分の2が発行市場を通じた参加でした。ただしこの区分には新規上場(IPO)だけでなく、すでに上場している企業が新たに株式を発行して資金を調達するQIP(公募増資)なども含まれるため、「新しく上場する企業への参加が中心だった」と言い切ることはできません。

さらに、2026年の年間を通してみると、外国人投資家は依然として大幅な売り越し超過です。1月から7月までの累計では約2兆5,400億ルピーの売り越しが続いており、これは7月単月の買い越し額の12倍を超える規模です。2026年で外国人投資家が買い越しに転じた月は2月と7月の2回だけでした(NSDLのデータにもとづく各社報道による)。7月単月の「5カ月ぶりの流入超過」は事実ですが、「インド株から資金が本格的に戻ってきた」と言い切るには、年初来の資金流出のほうがまだ大きいという点も押さえておく必要があります。

年初来の売り越しが続いていた理由は大きく2つです。1つは原油価格の上昇です。インドは原油の約9割を輸入に頼っており(2025年度に88.7%、インド政府がラージヤ・サバー[上院]に提出したデータにもとづく報道による)、原油高は物価上昇と貿易赤字拡大に直結します。もう1つはAIによる業務ソフトウェア代替への懸念で、インド経済を支えてきたITサービス産業の先行きに疑問符がついたことです。

あなたのオルカンには、実際どんな国が入っているのか

オルカンが連動する指数はMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)です。「ファンド自体は国別の構成比率を公表していない」と誤解されがちですが、実際には運用会社が毎月発行する運用レポート(月報)で開示されています。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の月次レポート(2026年6月末時点)によると、組入銘柄数は2,416銘柄、上位10カ国・地域の構成比率は米国63.0%・日本5.1%・台湾3.1%・英国3.0%・カナダ2.9%・韓国2.8%・フランス2.1%・スイス2.0%・ドイツ1.8%・オーストラリア1.4%です(運用会社公式月次レポート調べ)。上位10カ国の合計は87.2%で、残り12.8%がその他の国々に分かれています。

インドはこの上位10カ国には入っていません。10位のオーストラリア(1.4%)にも届いていないため、比率は1.4%を下回る水準と考えられます。参考までに、MSCI ACWI指数と同じ投資対象を持つ米国上場ETF(iShares MSCI ACWI ETF)の商品ページでも、インドの比率はおおむね1%台前半の水準として示されています。厳密な最新の数値は運用会社ごとに更新タイミングが異なるため、本記事では「上位10カ国には入らない、1.4%を下回る水準」という確認できる事実の範囲にとどめます。

例えば、オルカンを300万円分積み立てている場合、米国に相当する部分はおよそ189万円(63.0%)です。残り約111万円が日本・台湾・英国・カナダ・韓国など上位10カ国と、インド・中国を含むそれ以外の国々に分かれて投資されています。インド単体では300万円のうち4万円強を下回る規模とみられますが、「ゼロ」ではないことが具体的な金額で見えてきます。

正直に言うと、私自身もこの内訳を見るまでは「オルカンはほとんど米国株だろう」というくらいの理解でした。6割超が米国というのは事実ですが、残り4割弱の中に日本・台湾・欧州各国・新興国が広く分散されている、という構造を知っておくと、個別の国のニュースへの向き合い方が変わってきます。

新興国株が上がる・下がると、あなたのオルカンはどうなる?

新興国株の比率がオルカン全体の中でそれほど大きくない以上、インド株や中国株が多少動いたところでオルカンの基準価額が大きく揺れることはありません。ただし、方向性としては次のように影響します。新興国株が上昇すれば、その分だけオルカンの基準価額にもプラスに寄与します。逆に、通貨危機や政情不安、大幅な利上げなどで新興国株が急落すれば、比率相応にマイナス方向へ働きます。米国株が6割超を占める以上、オルカン全体の値動きを最終的に左右するのは基本的に米国市場の動向です。新興国の影響はそれに上乗せされる「振れ幅の一部」と捉えるのが実態に近い理解です。

為替の影響も無視できません。新興国通貨はドルや円に対して先進国通貨より変動が大きくなりやすく、通貨安が進むと現地株価が上昇していても円換算の評価額は目減りすることがあります。オルカンは為替ヘッジなしの商品が主流のため、この為替変動もそのまま基準価額に反映されます。

もっと新興国の比率を増やしたい場合の選択肢

オルカン1本で新興国への分散はすでに含まれていますが、「もう少し新興国の比率を積極的に取りたい」と考える方もいると思います。その場合の代表的な選択肢が、新興国株に特化したETFです。ただし商品によって組入国が異なる点には注意してください。米国上場のバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)はFTSE社の分類を採用しており、韓国を先進国として扱うため韓国株を含みません。一方、iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケッツETF(IEMG)はMSCI社の分類を採用しており、韓国株も含まれます。同じ「新興国ETF」でも中身が違うという、意外と知られていない差です。

例えば、オルカンの積立に加えて新興国ETFを毎月1万円分買い増すと、1年間で12万円分が新興国株にピンポイントで積み上がる計算になり、オルカン単体より明確に新興国の配分を厚くできます。ただし、新興国株は先進国株よりボラティリティが大きく、比率を上げるほど資産全体の値動きも荒くなる点は理解した上で判断してください(分散投資の基本的な考え方はこちらの記事でも解説しています)。

本日のインド市場の様子

参考までに、2026年8月10日時点のインド株式市場の状況にも触れておきます。代表的な株価指数であるNifty50は24,583.80(前日比+13.15ポイント、+0.05%)でした。もう一つの代表的な指数Sensexは78,542.44(同+43.27ポイント、+0.06%)で、いずれもわずかなプラスで取引を終えています(Business Standard調べ)。世界的な株高の流れを受けて堅調に始まったものの、大きく跳ねるほどの材料はなく、方向感の乏しい一日だったことが分かります。7月の資金流入超過は事実として確認できますが、8月に入ってからの値動き自体は落ち着いています。「一本調子で上昇している」わけではない点も、併せて押さえておくとバランスの良い理解になります。

タケシさんが確認しておきたいこと

新NISAでオルカンやS&P500を積み立てている25〜45歳くらいの会社員読者(この記事では「タケシさん」と呼びます)に向けて、今回の内容を整理します。

まず、オルカン1本を積み立てているなら、インドを含む新興国への分散はすでにあなたのポートフォリオに組み込まれています。「新興国には投資していない」という認識は正確ではありません。次に、その比率は決して大きくなく、米国が6割超を占める以上、オルカンの値動きを主に左右するのは米国市場だという構造も変わりません。最後に、「7月に資金が戻った」というニュースだけを見て飛びつく必要はありません。中身の3分の2はIPOやQIPなど発行市場への参加で、年初来ではまだ大幅な売り越し超過です。分散投資の実例として受け止めれば十分で、この記事を読んだからといって新興国ETFを買い増す必要があるわけではありません。気になった方だけ、選択肢の一つとして検討してみてください。

私自身、この記事を書くまでオルカンの国別内訳を米国以外きちんと調べたことがありませんでした。改めて運用会社の月次レポートを見ると、自分が思っていたより多くの国に分散されていることが分かり、1本の積立で世界中の企業に投資しているという実感が少し強まりました。

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まとめ:オルカン1本で、あなたはすでにインドにも投資している

  • 外国人投資家がインド株を2026年7月に約2,020億ルピー(約3,300億円)買い越し、5カ月ぶりに流入超過へ転換。ただし内訳の3分の2はIPOやQIPなど発行市場への参加で、2026年通年ではなお2兆5,400億ルピーの売り越し超過が続く(Business Standard調べ)
  • オルカンは「オール・カントリー」型ファンドで、新興国も投資対象に含む。運用会社の月次レポートは国別構成比率を毎月開示しており、非公表ではない
  • 国別構成(eMAXIS Slim全世界株式 月次レポート、2026年6月末時点)は米国63.0%・日本5.1%・台湾3.1%・英国3.0%・カナダ2.9%・韓国2.8%・フランス2.1%・スイス2.0%・ドイツ1.8%・オーストラリア1.4%(上位10カ国)。インドはこの上位10カ国に入らず、比率は1.4%を下回る水準
  • 新興国株の値動きはオルカン全体を大きく左右しないが、方向性としては上乗せされる。為替ヘッジなしのため通貨変動の影響も受ける
  • 新興国比率を積極的に増やしたい場合はVWO・IEMGなどの新興国ETFを組み合わせる選択肢がある。商品によって組入国(韓国の有無等)が異なる点とボラティリティ上昇のトレードオフは理解した上で判断する

「新興国には投資していない」と思っていても、オルカン1本を積み立てているだけで、実はインドを含む数十カ国に分散投資しています。今回のニュースは、その事実を思い出すきっかけとして受け止めてもらえれば十分です。

PFWiseのポートフォリオ診断では、自分の資産配分やリスクの全体像を確認できます。オルカン1本でも、実は思っていたより広い範囲に分散投資できているか、一度確認してみてください。

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免責事項

※インド株への外国人投資家の資金フロー(2026年7月に約2,020億ルピー・約3,300億円の買い越し、5カ月ぶりの流入超過)は日本経済新聞の報道にもとづく概説です。発行市場・流通市場の内訳(約1,347億ルピー対約673億ルピー)および2026年通年の累計売り越し額(約2兆5,400億ルピー)はBusiness Standardの報道にもとづきます。
※Nifty50・Sensexの株価水準(2026年8月10日時点の終値)はBusiness Standardの報道にもとづきます。日々変動する市場データであり、将来の値を保証するものではありません。
※オルカン(eMAXIS Slim全世界株式)の国別構成比率(米国63.0%・日本5.1%・台湾3.1%・英国3.0%・カナダ2.9%・韓国2.8%・フランス2.1%・スイス2.0%・ドイツ1.8%・オーストラリア1.4%、組入銘柄数2,416)は、三菱UFJアセットマネジメントが公表する2026年6月末時点の月次運用レポート(ファンド公式ページより入手可能)にもとづきます。インドの比率は同レポートの上位10カ国に含まれていないため、本記事では「1.4%を下回る水準」という確認できる範囲の記述にとどめ、具体的な数値は断定していません。国別構成比率は月ごとに変動するため、最新の数値は運用会社の公式サイトでご確認ください。
※新興国株ETF(VWO・IEMG等)への言及は一般的な商品カテゴリの説明であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。組入国は各社の商品ページ等で必ずご確認ください。
※インドの原油輸入依存度(約9割、2025年度88.7%)は、インド政府がラージヤ・サバー(上院)に提出したデータにもとづく報道を参照しています。
※過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄・個別国への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。