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著者: (PortfolioWise 開発者・運営者)

FRB利上げ確率90%なのに米国株は反発——4日続落にストップ。あなたのオルカン・S&P500への影響は?【2026年9月11日】

投資初心者向け。2026年9月11日、米CPI発表でFRB利上げ確率が90%に急上昇も米国株は反発。金・銀は前日下落後に反発。オルカン・S&P500への影響を解説。

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FRB利上げ確率90%なのに米国株は反発——4日続落にストップ。あなたのオルカン・S&P500への影響は?

投資初心者でも分かるように解説します。

(はじめにお断りしておくと、私はポートフォリオ管理ツールPFWiseの運営者です。記事の後半で自分のサービスにも触れます。)

2026年9月11日(金)、米国で8月の消費者物価指数(CPI)が発表されました。前年比+3.4%、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.3%(7月の+0.2%から加速)という結果です。前日10日に発表された卸売物価指数(PPI、前年比+5.4%)に続く「インフレしぶとい」を裏付ける数字で、来週開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ観測が一段と強まりました。ここでまず押さえておきたいのは、2025年後半から続いてきた「利下げ」の流れが止まり、むしろ「利上げ」が意識される展開になっているという点です。ところが同じ日、米国株のS&P500・ダウ平均・ナスダック総合はそろって上昇し、4営業日続いていた下落にストップをかけました。「利上げ観測が強まっているのに株価が上がる」——一見矛盾するこの値動きの理由と、あなたが積み立てているオルカンやS&P500、そして金(ゴールド)への投資にどう関わってくるのかを、順番に整理していきます。

何が起きたか——8月CPIは前年比+3.4%、コアは加速。前日のPPIも高め

2026年9月11日に発表された米8月CPI(消費者物価指数)は、前年同月比+3.4%でした。7月と同じ伸び率ですが、市場予想をわずかに上回りました。特に注目されたのがコアCPI(価格変動の大きい食品とエネルギーを除いた指数)で、前月比+0.3%と7月の+0.2%から伸びが加速しています。前日9月10日に発表されたPPI(卸売物価指数、企業間で取引される財・サービスの価格変動を示す指標)も前年比+5.4%と市場予想を上回っており、2日連続で「インフレがしぶとい」ことを示す結果が続きました。

PPIは企業間取引の価格を示す指標で、CPI(消費者向け価格)に数カ月先行して動く傾向があるとされています。9月10日のPPI発表を受けて金融市場ではすでに利上げ観測が強まっており、翌11日のCPIがそれを追認する結果となったことで、来週のFOMCへの警戒感が一段と高まりました。

FRBの利上げ確率、CPI発表後は90%に急上昇——「利下げ」から「利上げ」へ流れが反転

金融市場では、FOMCが政策金利をどう変更するかを、金利先物などの価格から逆算した「織り込み確率」で表すことがよくあります。CBS News(CME FedWatchのデータにもとづく)によれば、来週のFOMCでの0.25%利上げ確率は、CPI発表前日の9月10日時点では70%でしたが、9月11日のCPI発表後には90%へ上昇したと報じられています。1日で20ポイントという大きな変化で、今週を通じて利上げ観測が急速に強まってきたことがわかります。

あわせて米10年債利回り(米国の長期金利の代表的な指標)は今週だけで約18ベーシスポイント上昇し、9月11日時点で4.96%(2023年10月以来の高水準)に達し、心理的な節目である5%に迫っています。この米長期金利の上昇と、それが日本市場(日経平均)にも波及した経緯については、「日経平均が一時2,000円超安、原油急騰と米長期金利4.96%」の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

なぜ株価は反発したのか——「悪材料出尽くし」と原油価格の一服

ここで多くの人が疑問に思うのが、「利上げ観測が強まっているのに、なぜ米国株が上がったのか」という点です。9月11日の米国市場では、S&P500が前日比+0.86%の7,656.98、ダウ工業株30種平均が+0.98%(+509.19ドル)の52,573.29ドル、ナスダック総合指数が+0.96%の26,333.04で取引を終え、いずれも4営業日続いていた下落にストップをかけました。

理由として報じられているのは主に2つです。1つは、CPIの結果が「市場予想からかけ離れた極端な悪材料ではなかった」こと。事前にPPIで警戒感が高まっていた分、CPIが予想の範囲内にとどまったことで「これ以上の悪材料は出尽くした」と受け止められ、押し目買いが入りました。もう1つは、前日まで上昇が続いていた原油価格がおよそ3%下落したことです。原油価格が下がったことで、インフレへのさらなる追加的な悪材料が和らいだと受け止められました。100万円をS&P500に連動する商品で保有していた場合、この1日だけでおよそ8,600円の増加に相当する計算です。

金(ゴールド)・銀(シルバー)は9月10日に下落も、9月11日は一転して反発

株式と対照的な値動きになったのが金(ゴールド)と銀(シルバー)ですが、こちらも一筋縄ではいきません。Kitco News(貴金属専門ニュースサイト)の報道によれば、9月10日のPPI発表を受けて金は1オンス4,362.30ドル(前日比-0.87%)へと軟調に推移し、銀は64.920ドル(同-3.34%)まで下落しました。ところが翌9月11日、CPI発表を受けて利上げ確率が90%まで上昇したにもかかわらず、金・銀はそろって反発しています。金融情報サイトgoldsilver.comは同日の記事に「利上げ確率は90%に達したが、金は気にしなかった」という趣旨の見出しを掲げました。複数の報道によれば、9月11日の金は1オンス4,370〜4,400ドル前後まで上昇(前日比でおよそ+1〜2%程度)、銀も上昇しています。

金は「地政学リスクへの備え」や「インフレヘッジ(物価上昇による資産価値の目減りへの備え)」としての需要も根強く、短期的な金利観測と長期的な資産防衛ニーズがせめぎ合う値動きになりやすい点が特徴です。9月10日の下落と9月11日の反発が同じ週に同居したこと自体が、金は「金利が上がれば必ず下がる」という単純な関係だけでは動かない資産であることを示しています。金への投資を検討する場合、こうした値動きの複雑さを理解しておくことが大切です。金価格の動向については、過去の記事(FRBと金利観測の関係を扱った記事)でも解説していますので、あわせてご参照ください。

FRBが実際に利上げするとどうなる? あなたへの3つの影響

来週のFOMCで実際に利上げが決定された場合、一般的にどのような影響が想定されるのかを整理します。

①グロース株・ハイテク株が売られやすくなる: 政策金利が上がると、市場全体の金利水準(特に長期金利)も連動して上昇しやすくなります。将来の利益を現在の株価に強く織り込んでいるグロース株(成長株)ほど、金利上昇による評価額の目減りの影響を受けやすいとされています。

②ドル高・円安が進みやすくなる: 米国の金利が上がると、相対的にドル資産で運用する魅力が高まり、円を売ってドルを買う動きが強まりやすくなります。オルカンやS&P500に連動する商品の多くは為替ヘッジなし(外貨建て資産の為替変動をそのまま受ける)のため、円安が進めば円換算の評価額は増える方向に働きます。

③金など無利息資産が上値の重い展開になりやすい: 上で見たとおり、金利が上がると金のような無利息資産は相対的に見劣りしやすくなります。ただし地政学リスクへの警戒感が強い局面では、この関係が必ずしも単純には働かないこともあります。

あなたのオルカン・S&P500への影響は? 「一時的な値動き」と「金利トレンドの転換」を分けて考える

タケシさん(本サイトが投資初心者〜中級者の読者像として想定している人物です)のように、オルカンやS&P500を毎月積み立てている場合、今回の一連の値動きは「1日ごとの上げ下げ」と「金利トレンドが利下げから利上げに転換しつつあること」の2つに分けて考える必要があります。

オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))の運用会社の月次レポート(2026年7月31日基準)によれば、国別構成比率でアメリカは63.1%と最大です。オルカンを100万円分保有している場合、その約63万円がアメリカ株式に相当します。さらに業種別では情報技術(IT)セクターがファンド全体の29.6%と最大の比率を占めており、金額にすると約29万6千円分です(この29.6%はファンド全体に対する比率であり、アメリカ株式63万円にさらに掛け合わせる数値ではありません)。S&P500に100%連動するファンドの場合、情報技術セクターの比率はさらに高く、State Street社のSPYファクトシート(2026年6月30日基準)によれば38.03%です。これらはいずれも今回テーマとなった米金利動向に敏感な構成であり、金利トレンドの転換は無視できない要素です。

一方で、9月11日1日だけの値動きで見れば、S&P500は前日比+0.86%の上昇でした。例えば、タケシさんのようにNISAつみたて投資枠でS&P500連動ファンドを毎月3万円積み立てている場合、この1日の値動きだけを見て積立額を変える必要はありません。仮に今後もFOMCの結果次第で1日単位の値動きが大きくなる場面があっても、それは「金利トレンドの転換」という大きな構造変化とは分けて捉える必要があります。淡々と積み立てを続けるドルコスト平均法の基本は、こうした短期的な値動きの大小によって変える必要はありません。

金(ゴールド)を保有している人・検討している人への影響

ポートフォリオの一部に金(純金上場信託やSPDR Gold Shares等の金ETF)を組み入れている、あるいは検討している場合、今回のような利上げ観測の高まりは短期的に価格の重荷になりやすい点を理解しておく必要があります。一般的に、金はポートフォリオ全体の5〜10%程度を「インフレヘッジ」や「株式との値動きの相関が低い資産」として組み入れる考え方が紹介されることがありますが、短期的には今回のように金利動向に左右されて下落する局面もあります。金だけを取り出して「上がるか下がるか」を当てにいくのではなく、ポートフォリオ全体の中でどんな役割を持たせたいかを意識しておくことが大切です。

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今後の注目点: 来週のFOMCと、その後の金融政策の方向性

今回の一連の値動きの背景にあるのは、来週開催されるFOMCで実際に利上げが決定されるかどうかです。市場はすでに90%前後の確率で利上げを織り込んでいるとされていますが、これはあくまで市場参加者の予想であり、結果を事前に断定することはできません。仮に利上げが決定された場合、その後の追加利上げの有無や、金融政策の方向性についてのFRBのメッセージにも注目が集まります。「CPI・PPI・FOMCの利上げ確率・米国株・金(ゴールド)・あなたのオルカンやS&P500」が連動しうる構造は、当面続くとみておいたほうがよさそうです。

まとめ: 「利上げ観測なのに株高」の理由と、金利トレンド転換への向き合い方

  • 2026年9月11日発表の米8月CPIは前年比+3.4%・コアCPIは前月比+0.3%(7月+0.2%から加速)。前日10日発表のPPIも前年比+5.4%と市場予想を上回った
  • 来週のFOMCでの0.25%利上げ確率は、CBS News(CME FedWatch)によれば9月10日時点の70%から9月11日のCPI発表後は90%へ上昇。「利下げ」から「利上げ」へ流れが転換しつつある
  • 米国株はCPIが極端な悪材料でなかったことと原油価格の約3%下落を手がかりに反発し、S&P500・ダウ・ナスダックはそろって4営業日続落にストップをかけた
  • 金(ゴールド)・銀(シルバー)は9月10日のPPI発表を受けて下落したが(金-0.87%・銀-3.34%)、9月11日のCPI発表後は利上げ確率90%到達にもかかわらず一転して反発。金利観測だけで単純に説明できない値動きの複雑さを示した
  • オルカンの米国株比率63.1%・情報技術セクター比率29.6%(S&P500は38.03%)は米金利動向に敏感な構成。短期の値動きと金利トレンドの転換は分けて考え、淡々とした積立継続が基本

「利上げ観測が強まっているのに株価が上がった」というニュースは、一見矛盾しているように見えるかもしれません。しかし実際には、「悪材料が予想の範囲内にとどまったこと」への安心感と、「金利トレンドが転換しつつあること」という中長期的な変化は、別々の力として同時に働いています。目先の値動きの大小に一喜一憂するよりも、自分のポートフォリオが金利動向にどれだけ敏感な構成になっているかを理解しておくことが、長期投資を続けるうえでは重要です。

PFWiseのポートフォリオ診断では、保有商品の国別構成比率やセクター構成、金(コモディティ)の組入比率を確認できます。金融政策の転換点となりうるニュースが出た日こそ、自分のポートフォリオが実際にどこにどれだけ賭けているのかを一度可視化してみることをおすすめします。

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免責事項

※2026年9月11日発表の米8月CPI(前年比+3.4%、コアCPI前月比+0.3%・7月+0.2%から加速)は、CBS News「Inflation stayed hot in August with annual pace of 3.4%, raising the odds of a Fed hike」およびCNBCの報道にもとづきます。前日9月10日発表の8月PPI(前年比+5.4%)はgoldsilver.com「Gold, Silver Fall as PPI Hits 5.4%, Fed Odds Jump to 60%」の報道にもとづきます。
※来週のFOMCでの0.25%利上げ確率が9月10日時点の70%から9月11日のCPI発表後に90%へ上昇したことは、前掲CBS News記事(CME FedWatchのデータを引用し「CPI発表後、利上げ確率は前日の70%から90%へ上昇した」と報じています)にもとづきます。米10年債利回りが週間で約18ベーシスポイント上昇し4.96%(2023年10月以来の高水準)に達したことはBloomberg「Global Bond Selloff Sends 10-Year Treasury Yields to Cusp of 5%」にもとづきます。
※2026年9月11日の米国株市場の終値(S&P500 +0.86%の7,656.98、ダウ平均+0.98%[+509.19ドル]の52,573.29ドル、ナスダック総合+0.96%の26,333.04、いずれも4営業日続落にストップ)、および反発の背景(CPIが予想範囲内にとどまったこと・原油価格の下落)は、TheStreet「Stock Market Today (Sept. 11, 2026)」Washington Postおよび24/7 Wall St.の報道にもとづきます。原油価格がおよそ3%下落したことは、複数の市況報道にもとづく一般的な要約です。
※2026年9月10日(PPI発表当日)の金価格(1オンス4,362.30ドル・前日比-0.87%)・銀価格(64.920ドル・同-3.34%)、および金が週間で3週連続の下落となったことは、Kitco News「Gold, silver prices tumble as hot PPI lifts Fed-hike risk」および前掲goldsilver.comの報道にもとづきます。2026年9月11日に金・銀が反発したこと(金は1オンス4,370〜4,400ドル前後・銀も上昇)は、goldsilver.com「Fed Hike Odds Just Hit 90%. Gold Didn't Care.」にもとづきます。金が「無利息資産」であり金利上昇局面で相対的な魅力が低下しやすいという説明は、一般的に紹介される金融市場の考え方にもとづく概説であり、9月11日のように必ずしもそのとおりに動くとは限りません。
※オルカン(eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))の国別構成比率(アメリカ63.1%)、業種別構成比率における情報技術(IT)セクターの比率(29.6%、業種別で最大)は、三菱UFJアセットマネジメントが公表する月次レポート(emaxis.am.mufg.jp、2026年7月31日基準)にもとづきます。S&P500の情報技術セクター比率(38.03%、全11セクター中最大)は、State Street Investment Management「State Street® SPDR® S&P 500® ETF Trust(SPY) Fact Sheet」(2026年6月30日時点、公式ファクトシートPDF)にもとづきます。
※記事内の金額試算(騰落率・構成比率を100万円に乗じた計算)は、記載した比率・騰落率をそのまま乗じた簡易な仮定計算であり、信託報酬・スプレッド等のコストや実際の基準価額の変動は考慮していません。実際の評価額の増減とは異なります。
※FOMCの結果、来週以降の金融政策の方向性、金(ゴールド)・株式・為替の今後の値動きについて、本記事執筆時点では未確定であり、確定的な予測を行うものではありません。
※過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
※本記事はPFWiseの運営者が執筆しており、個人的な見解を含みます。書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです。