米中関税145%でNISAのオルカンはどうなる?積立継続の判断基準【2026年版】
米中関税145%(通常125%+罰則20%)がオルカン・S&P500に与える影響を解説。中国比率約3%のオルカンへの直接影響、Apple・Nike等の米国企業リスク、過去暴落データから見る積立継続の合理性を詳しく分析。
米中関税145%とは何か——2026年現在の仕組み
2026年4月現在、米国は中国からの輸入品に合計145%の関税を課しています。この数字は2つの関税が積み重なった結果です。
- 通常関税(Section 301): 125%——トランプ政権が「中国の不公正な貿易慣行」を理由に発動。2025年から段階的に引き上げられ、2026年に125%に到達。
- 罰則関税(フェンタニル問題): 20%——中国からのフェンタニル(合成麻薬の原料)流通問題への制裁として、2025年2月に上乗せ発動。
合計145%という水準は歴史的に類を見ない高さです。たとえば輸入価格が1万円の商品は、輸入業者が米国で購入する際に実質2万4,500円相当のコストを負担する計算になります。事実上の「輸入禁止」に近い水準です。
中国側は対抗措置として米国製品への125%の報復関税を発動しており、米中間の貿易は急速に縮小しています。2026年3月時点で米中間のコンテナ輸送量は前年比35%超の減少が報告されています。
オルカン(全世界株式)への影響——中国比率は約3%
「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を持っているけど大丈夫?」という不安を抱えている方は多いはずです。結論から言うと、オルカンへの直接的な中国リスクは限定的です。
オルカンの中国比率
MSCI ACWI(オルカンが連動する指数)の中国比率は約2.8〜3.2%(2026年4月時点)です。2021年頃は5%超あった中国比率が大幅に低下している理由は、中国当局による民間企業規制の強化(アリババ等への規制)や米国上場廃止懸念による時価総額の縮小です。
つまり、オルカン100万円を保有している場合、約28,000〜32,000円分が中国株式の構成になっています。関税の影響が中国株式にどれだけ織り込まれているかによりますが、直接的な影響は全体の3%以内に収まります。
見落とせない「間接的な米国経由リスク」
問題は直接的な中国株だけではありません。オルカンの約62%を占める米国株の中に、中国事業への依存度が高い企業が多数含まれています。
- Apple(AAPL): iPhoneの約90%が中国で製造。関税によるサプライチェーンコスト増と中国市場でのブランド棄損リスク
- Nike(NKE): 中国は売上の約17%を占める重要市場。2026年4月に-13%急落を記録
- Tesla(TSLA): 上海ギガファクトリーが生産の主力。中国市場でのBYD等との競争激化
- 半導体メーカー全般: 中国向け輸出規制により、Qualcomm・Broadcom等が中国売上の大幅減少を予告
S&P500への影響——YTD -4.0%から+3.6%回復の実績
S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)は2026年の年初からの推移(YTD)を見ると、4月9日週に+3.6%の急回復を記録しています。ただし年初からの累計ではまだマイナス圏で推移しています。
なぜS&P500は回復できたのか
4月9日週のS&P500急騰の背景には、「90日間の関税停戦」交渉観測があります。トランプ政権が中国以外の国々への相互関税を90日間停止する可能性が報じられ、市場に安堵感が広がりました。一方、対中145%関税は維持されており、根本的な解決には至っていません。
中国関税がS&P500企業に与える3つの打撃
- 原材料・部品コストの上昇: 中国からの輸入に依存する製造業・小売業のコスト増加
- 中国市場での報復的売上減少: 中国消費者による米国ブランドへの不買運動リスク
- 不確実性によるCAPEX(設備投資)抑制: 将来が読めないため企業が投資を先送り
特に影響が大きいセクターはテクノロジー(+32%のS&P500内シェア)と一般消費財(+10%)です。これらのセクターへの依存度が高いS&P500は、米中関税の長期化シナリオでは引き続き逆風を受けます。
積立継続vs一時停止——過去の暴落データで判断する
「こんな状況で積立を続けていいのか?」という疑問は、2020年のコロナショック、2022年の急激な利上げ時にも全く同じように多くの投資家を悩ませました。過去のデータが出している答えは明確です。
過去の主要な暴落と積立継続の結果
- 2020年コロナショック(S&P500 -34%): 2020年2月から3月にかけてS&P500は約34%急落。しかし2020年8月にはコロナ前の水準を回復し、年末には+18%まで上昇。月2万円の積立を2年間継続した場合、暴落前開始と暴落直前開始でリターンに大きな差はありませんでした。
- 2022年利上げショック(S&P500 -25%): FRBの急速な利上げでS&P500は2022年に約25%下落。しかし2023年には+26%、2024年には+23%と急回復。2022年の暴落時に積立を止めた投資家は、最も安い価格帯での購入機会を逃しました。
- リーマンショック(S&P500 -57%): 2007〜2009年に最大57%の暴落。積立継続した場合、2013年には元本回復を果たし、その後も長期で大幅なプラスリターンを達成。
積立継続が統計的に有効な理由
バンガードの研究(2021年)によると、「市場タイミングを見計らって投資する」戦略と「毎月定額を積み立て続ける」戦略を比較した場合、10年以上の期間では後者が73%のケースで上回る結果が出ています。
理由は単純です。「最安値のタイミングで投資する」ことは、後から見てしかわかりません。パニック時に積立を止め、「安定した」と感じてから再開すると、その時点では既に底値から大きく回復していることがほとんどです。
一時停止を検討すべきケース(例外)
積立継続が基本ですが、以下の状況では一時的な停止や減額が合理的な場合もあります。
- 生活防衛資金が不足している場合: 生活費6ヶ月分以上の現金を確保するまでは、投資より貯蓄を優先
- 投資資金が近い将来必要な場合: 5年以内に使う予定のお金は株式投資に充てない
- 精神的に耐えられない場合: 夜も眠れないほどの不安を感じるなら、リスク量の見直しが必要
PFWiseで中国リスクを確認する方法
「自分のポートフォリオに中国リスクがどれくらい含まれているか、具体的に確認したい」——そのための方法を解説します。
CSVインポートでセクター・地域別分析
SBI証券や楽天証券のCSVをPFWiseにインポートすると、保有銘柄のセクター別・地域別の構成比を自動で可視化できます。オルカンやS&P500等のインデックスファンドも、構成国の比率に基づいて地域エクスポージャーを算出します。
注目すべき指標
- 一般消費財セクターの比率: Nike・Appleなど中国依存度の高い企業が集中するセクター。15%超なら要注意
- テクノロジーセクターの比率: 半導体・クラウド等、中国輸出規制の影響を受ける企業群。30%超は関税リスクへの感応度が高い
- 地域別エクスポージャー: 直接的な中国株の保有比率を確認
PFスコアでリスクを数値化
PFWiseのPFスコアはHHI(集中度指数)をもとにセクター集中リスクを0〜100点で数値化します。セクターが特定の分野に偏っている場合、スコアが低下し「セクター集中リスクあり」の警告が表示されます。関税リスクに対して分散が効いているかどうかを定量的に判断する材料になります。
まとめ——積立継続が統計的に有効、ただしリスクの可視化は必要
米中関税145%は確かに市場に大きなインパクトを与えています。しかし、NISAでオルカン・S&P500を積み立てている長期投資家にとって、今すぐ積立を止める合理的な理由はデータ上ほとんどありません。
重要なのは以下の3点です。
- オルカンへの直接的な中国リスクは約3%(中国比率の水準)に限定される
- S&P500の中国依存企業リスクは実在するが、市場はすでに一定程度を織り込んでいる
- 過去の暴落事例では積立継続が統計的に有効(10年超の期間で73%のケースで有利)
感情的な判断で積立を止めるより、PFWiseのようなツールで自分のポートフォリオのリスクを「数字で見る」ことが、冷静な判断の第一歩です。セクター比率・地域分散・PFスコアを定期的に確認しながら、長期の積立を続けていきましょう。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。記載のパフォーマンスデータは概算値であり、将来のリターンを保証するものではありません。