停戦は「起きる前」に株価を動かす——野村11サンプル検証と、ニュースを見てから買うと出遅れる理由【2026年6月・初心者向け】
野村證券が1945年以降の停戦11サンプルを検証。株価は停戦の3〜4週間前から平均3〜4%上昇し、確定後に買うと出遅れます。2026年米イラン停戦(4/8合意・原油ピーク比約20%安)を例に「噂で買って事実で売る」の仕組みと、NISA積立を止めない理由を初心者向けに解説します。
停戦のニュースを見てから「今だ」と買おうとするたびに、株価はもう動いていました。 私のNISA口座の損益グラフを見ると、大きな上昇はいつも「何かが起きる前」に始まっていて、ニュースが確定した日はむしろ天井に近いことがほとんどでした。
これは私の買い方がまずいのではなく、市場の構造的な問題です。 野村證券が過去の停戦データを検証した結果が、その理由をはっきり示しています。
相場は停戦の「3〜4週間前」から動いていた:野村の11サンプル検証
野村證券のストラテジストは、1945年以降の主要な戦争終結・停戦イベント11サンプル(TOPIXは1951年以降で9サンプル)を検証しました。 結果は明快です。
- 停戦の3〜4週間前から停戦日にかけて、S&P500・TOPIXはともに平均3〜4%前後上昇する傾向がある
- 停戦後1年間ではさらに平均10%前後の上昇が続く傾向がある
- 中長期投資家には「時間分散しながら押し目買いを進めるのが適切」と結論づけている
出典:野村證券ストラテジストの分析(NOMURA ウェルスタイル「過去の停戦局面を検証」2026年)
3〜4週間前から動く、という事実が示すのは一つのことです。 停戦が「確定」したタイミングで買おうとしても、プロが見込んで動かした分はすでに株価に織り込まれている。 個人投資家がニュース速報で反応しようとしても、構造的に遅い。
今回の米イラン停戦でも同じことが起きた(2026年4月・5月)
野村の検証が示したパターンは、2026年の米イラン停戦でも繰り返されました。
2026年4月8日、米国とイランが停戦に合意。 ダウ平均は寄り付きで1,000ポイントを超えて急騰し、同日の原油は急落しました(CNBC・Reuters、2026年4月報道)。
しかしこれは「停戦確定日」の反応です。交渉が進んでいるという観測が市場に広がり始めた段階では、すでに株価は動いていました。 停戦確定を確認してから買いに動いた人は、値上がりした後の株を買うことになりました。
さらに2026年5月28日、米イラン交渉団が停戦を60日間延長し、核交渉を始める覚書で暫定合意しました(NPR、2026年5月報道)。 この間、原油価格は2026年のピークから約20%下落。 ブレント原油は5月単月で約19%安(コロナ禍以降で最悪の月間下落)、WTIも月間16.5%安を記録しました(Reuters、2026年5月)。
ホルムズ海峡の通航正常化期待が原油安を加速させ、エネルギーコスト低下への期待から航空・クルーズなど燃料コストが直結するセクターが上昇しました。 一方で、有事の際に買われていた金やドルといった安全資産は反落しました。 この「なぜ中東情勢でオルカン・S&P500が動くのか」という仕組みそのものは、 米イラン停戦と地政学リスクの基本を解説した記事で詳しく整理しています。
なぜ「停戦確定を待つ」と損するのか:市場は「織り込み」で先回りする
機関投資家(年金基金・ヘッジファンド・証券会社のトレーダー)は、「停戦交渉が始まった」「外交ルートで接触がある」という段階から情報を収集し、確率で株を買い始めます。 停戦の可能性が30%→50%→70%と上がるにつれて、その期待値が株価に反映(織り込まれ)ていきます。
その結果、「停戦確定」のニュースが出た瞬間には、市場はすでに大部分を織り込み済みです。 野村の検証が示した「3〜4週間前から3〜4%の上昇」は、この織り込みプロセスが数字に表れたものです。
ニュースを見てから動く個人投資家は、構造的に機関投資家より遅い。 これは情報収集の問題ではなく、市場の仕組みの問題です。 個人が高速でトレードしても解決しません。
「では、もっと早く動けばいい?」と思うかもしれません。 しかし、「停戦交渉が進んでいる」という段階での株購入は、交渉が決裂した場合の下落リスクも引き受けることを意味します。 交渉破談のリスクを正確に評価できる個人投資家は、ほとんどいません。
では初心者はどうすればいいか:野村の結論「時間分散・押し目買い」を積立で実践する
野村のストラテジストは「時間分散しながら押し目買いを進めるのが適切」と述べています。 これは機関投資家向けの表現ですが、個人投資家の言葉に置き換えると次の3つになります。
1. 積立を止めない(タイミングを当てにいかない)
毎月の積立設定を動かさないことが、「時間分散」の実践です。
停戦の前から動く相場も、停戦後の平均10%の追加上昇も、積立を続けていれば自動的に取り込みます。
タイミングを当てようとして積立を止めると、どちらも取り逃します。
積立の中身をオルカンとS&P500のどちらにするか迷っている人は、
オルカンとS&P500の比較記事もあわせてどうぞ。
2. 暴落局面が来たら「押し目」として追加を検討する
地政学リスクで株価が下落した局面は、同じ金額でより多くの口数を購入できるチャンスです。
余裕資金があれば、NISAの成長投資枠でスポット購入を加えることが「押し目買い」の実践です。
3. 停戦後1年の上昇(平均+10%)を信じて継続する
野村の検証では、停戦後1年間でさらに平均10%前後の上昇傾向があります。
停戦ニュースを見て「もう遅い」と感じても、中長期では上昇が続く傾向があります。
今回の米イラン停戦で出遅れたと感じた人も、積立を続けることで中長期のリターンに乗れます。
また今回の停戦による原油安は、インフレ抑制にも効く可能性があります。 エネルギーコストが下がれば中央銀行のタカ派姿勢が和らぎやすくなり、それが株価を中期的に押し上げる方向に働きます。 日本株については、海外投資家が5月下旬まで8週連続で買い越し、2026年の累計買越額は約11.7兆円に達しています(ロイター)。 原油安とAI関連株への期待が、資金流入を後押ししています。
まとめ
- 野村證券の11サンプル検証:停戦の3〜4週間前から相場は動き、停戦後1年で平均+10%の追加上昇傾向
- 2026年4月8日の米イラン停戦確定日にダウは1,000ポイント超の急騰。「確定を待った人」はその前の上昇を取り逃した
- 原油はピークから約20%下落。ホルムズ海峡の通航正常化期待が背景
- 海外投資家による日本株の8週連続買い越し(累計約11.7兆円)は継続中
- 個人投資家がとるべき行動は「積立継続」と「余裕資金の把握」の2つ。タイミングを当てにいかないことが野村の推奨する「時間分散」の本質
次にやること:証券口座の積立設定を開いて、NISAの自動積立が止まっていないことを確認する。それだけで、停戦後の上昇を自動で取り込める体制が整います。
ウォール街のランダム・ウォーカー
バートン・マルキール
「市場のタイミングを当てることは不可能に近い」という命題を、1970年代から現在まで膨大なデータで証明し続けた古典的名著。「噂で買って事実で売る」が機関投資家の世界で起きる理由と、個人がインデックス積立で対抗できる理由が理解できる。
JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則
ニック・マジューリ
「市場のタイミングを計るより、とにかく買い続ける方が統計的に有利」という主張を実証したデータ駆動の一冊。停戦を待って買い時を探すより、積立継続が正解な理由を数字で納得したい人向け。
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【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。 投資には元本割れのリスクがあり、過去の実績は将来の結果を保証しません。 記事内の市場データは2026年6月時点の公開情報に基づきます。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。 野村證券ストラテジストの分析データ:NOMURA ウェルスタイル「過去の停戦局面を検証」(2026年・出典記事)。原油価格・停戦経緯データ:CNBC・NPR・Reuters(2026年4〜5月報道)。日本株買い越し額:ロイター(2026年5月)。 書籍リンクはAmazonアソシエイトのアフィリエイトリンクです(ストアID: rih0z-22)。